2021.11.30
概要
「看護師」というと、高収入とのイメージを持つ方が多いと思います。
また看護師として働いている中で、自分の年収が相場と比べてどの程度なのか気になる方もいるでしょう。
「看護師の給料・年収の相場はいくら?」
「働きに見合ったお給料をもらえているのか?」
「もっと高収入を望める施設があるのではないか?」
このように考える方は少なくありません。
この記事では、看護師の給料・年収の相場や施設による違いをご紹介します。
<目次>
1,看護師の平均年収は400~500万円くらい
1-1.性別による年収の差
1-2.地域による年収の差
1-3.国立・公立・一般などの職場による年収の差
2,看護師の年収・給料の内訳
2-1.夜勤手当が非常に大きい
3,病院以外で働く看護師の年収は?
3-1.介護施設の平均年収
3-2.クリニックの平均年収
4,美容皮膚科や美容外科クリニックで働く看護師の年収は高い!
4-1.美容クリニックで働く看護師の年収が高い理由
5,看護師の給料・年収は条件により大きく異なる!
6,看護師の転職は給料・年収だけで考えるとキケン
6-1.基本給だけに注目すると年収が減る可能性も!?
6-2.やりがいを感じない
6-3.働く環境が劣悪
7,まとめ
1. 看護師の平均年収は400~500万円くらい
看護師として働いていると、「自分が今もらっている給料は相場と比べてどれくらいなのだろう?」と気になることもあるでしょう。
看護師の年収は年齢や働く場所・スキルにより差はありますが、厚生労働省が実施した「令和2年賃金構造基本統計調査」による、とおおよそ400~500万円が相場です。
時給では1,400~2,640円となっています。
「看護師」と聞くと高収入なイメージがありますが、「それほど高くないな」と感じた方もいるのではないでしょうか?
全国的な相場は400~500万円ですが、性別や地域・職場で差がないか詳しく見ていきましょう。
1-1.性別による年収の差
男性と女性で、年収にどれほど差があるのでしょうか?
(参照:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 )
男性の方がやや高い年収になっています。
これは妊娠・出産・子育てなどで、勤務に制限がある女性が多いことが反映されていると考えられます。
また男性看護師の方が女性に比べて体力があるため、夜勤回数が多かったり、住居手当や家族手当が多くついたりすることが影響していると考えられます。
看護師は、ほかの職種に比べて圧倒的に女性の比率が高いです。
やや男性看護師の方が年収は高いですが、会社員などほかの職種に比べたらほとんど差はないといえるでしょう。
1-2.地域による年収の差
地域による差がどれほどあるのか、見ていきましょう。
全国平均 491.8万円
1位 青森 540.5万円
2位 岐阜 530.4万円
3位 神奈川 521.8.万円
4位 東京 519.1万円
5位 埼玉 515.9万円
6位 秋田 515.4万円
7位 富山 515.3万円
8位 静岡 513.8万円
9位 石川 513.3万円
10位 愛知 510.3万円
11位 京都 506.7万円
12位 福井 504.6万円
13位 茨城 504.4万円
14位 徳島 504.2万円
15位 奈良 504.2万円
16位 山梨 501.9万円
17位 兵庫 501.2万円
18位 大阪 498.4万円
19位 鳥取 496.6万円
20位 栃木 496.5万円
21位 千葉 496.5万円
22位 和歌山 495.5万円
23位 宮城 495.4万円
24位 滋賀 495.3万円
25位 広島 493.5万円
26位 山口 492万円
27位 新潟 490.1万円
28位 北海道 485.4万円
29位 長崎 482.3万円
30位 島根 476.3万円
31位 長野 476.2万円
32位 三重 473.8万円
33位 香川 468万円
34位 岩手 466.6万円
35位 福岡 463.2万円
36位 山形 460万円
37位 岡山 458.6万円
38位 福島 457.1万円
39位 宮崎 454.8万円
40位 沖縄 453.7万円
41位 佐賀 451.1万円
42位 群馬 445.5万円
43位 愛媛 444.3万円
44位 鹿児島 443.9万円
45位 高知 440.6万円
46位 熊本 424.4万円
47位 大分 405万円
(厚生労働省 「令和2年令和2年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに算出)
1位は青森、2位は岐阜、3位は神奈川でした。
1位の青森と47位の大分では約135万円の差がみられます。
主に上位を都市部が占めています。
同じ看護師なのに、なぜここまで都道府県で差が見られるのでしょうか?
それは家賃や物価などの相場が異なるためです。
都市部の物価は、どうしても高額になりがちです。
そのため、年収も地方に比べて高くなるのです。
また看護師不足が問題になっている地域ほど、人を集めるため給料は高めに設定されています。
このように、住んでいる場所により年収は大きく変わります。
1-3.国立・公立・一般などの職場による年収の差
どの職場に勤めているかでも収入は変わります。
勤続10年の非管理職の看護師の場合、おおよその給料は次のようになっています(税込給与総額)。
国立:33.8万円/月額
公立:33.9万円/月額
公的医療機関:33.8万円/月額
社会保険関係団体:35.5万円/月額
公益法人:31.9万円/月額
医療法人・個人:31.1万円/月額
その他の法人:32.9万円/月額
参照:公益社団法人日本看護協会 「看護師の給与データ(2018年版) 」
公的な機関の給料の方が、医療法人や個人病院より高くなっています。
賞与を考慮しなければ正確な比較はできませんが、月額の給与のみで比較すると公的な機関と医療法人や個人病院では、年間48万円くらい差が生じることにもなります。
このように、どの職場で働くかも年収に大きな影響を与えます。
2. 看護師の年収・給料の内訳
看護師の年収・給料の内訳は、どのようになっているのでしょうか?
基本的に看護師の年収は、次の4つから成り立っています。
・基本給
・夜勤手当
・残業代
・ボーナス
ほかにも通勤手当や住宅手当、家族手当などさまざまな手当がつきます。
2-1.夜勤手当が非常に大きい
看護師の年収に大きな影響を与えるのが、「夜勤手当」です。
公益社団法人日本看護協会の「2019年病院看護実態調査」によると、夜勤手当は次の表のようになっています。
引用:公益社団法人日本看護協会の「2019年病院看護実態調査」
勤務時間が長い二交代制の方が、1回あたりの手当の額も大きいです。
三交代制の病院における1ヶ月の夜勤回数は約7回。
二交代制の病院では約4回。
そのため毎月、夜勤手当として3~4万円が上乗せされます。
年収にすると、35~50万円近い金額になります。
夜勤の有無は、看護師の年収に大きな影響を与えています。
3. 病院以外で働く看護師の年収は?
看護師が活躍する場は、大きな病院ばかりではありません。
介護施設やクリニックで働く看護師もたくさんいます。
介護施設とクリニックの看護師の年収は、いくらぐらいなのでしょうか?
順番にご紹介します。
3-1.介護施設の平均年収
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護施設で働く常勤看護師の平均月収は約38.3万円です。
年収に換算すると、おおよそ460.2万円になります。
この年収にはボーナスを含んでいないため、実際は一般の看護師とあまり変わらない相場であると考えられます。
介護施設で働く職員の給料が低いと問題になっていますが、近年は見直しが行われ、比較的一般病院と同じ水準になるように改善されているのです。
介護施設といっても「特別養護老人ホーム」「介護老人保険施設」「有料老人ホーム」「デイサービス」など、さまざまな種類があります。
施設により給料も変動します。
3-2.クリニックの平均年収
厚生労働省が行った「第22回医療経済実態報告書」によると、クリニックで働いている看護師の平均年収はおおよそ385万円です。
一般病院で働く看護師と比べ、100万円近く低い年収になっています。
主な原因は夜勤の有無です。
クリニックには、一般病院で看護師の収入に大きな影響を与えていた夜勤がありません。
そのため、クリニックで働く看護師の年収は、「基本給」「残業代」「ボーナス」の主に3つで成り立っています。
必然的に、夜勤がある一般病院の看護師より年収は低くなります。
4. 美容皮膚科や美容外科クリニックで働く看護師の年収は高い!
「クリニック」といっても「小児科」「外科」「消化器内科」など、さまざまな診療科があります。
先ほどクリニックの年収は、ほかの病院で働く看護師より低いとご説明しましたが、例外があります。
美容皮膚科や美容外科の看護師の年収は、450~500万円が相場です。
そこに加えて手当や報奨金が支給されることもあるため、さらに高い年収を得ている方もいます。
もちろん、夜勤のある美容クリニックはほとんどありません。
それにも関わらず、実は美容皮膚科や美容外科など美容分野のクリニックで働く看護師の年収は、一般病院で働く看護師と同等かそれ以上のことが多いのです!
なぜ美容クリニックの看護師の年収は高いのでしょうか?
4-1.美容クリニックで働く看護師の年収が高い理由
美容クリニックで行われる診療のほとんどが、「自由診療」です。
「自由診療」は一般の病院でよく行われる「保険診療」と異なり、公的な医療保険が適応される医療技術や薬剤の治療です。
「保険診療」は医療行為により診療報酬が定められているため、すでに金額が決まっています。
場合によっては患者に必要な追加の医療行為があっても、ひとくくりにされてしまい、医療を行ったにも関わらず収入にならないこともあるのです。
しかし「自由診療」なら実施する医療機関が独自に金額を決めることができ、医療行為を行った回数に伴う収益が生まれます。
つまり看護師が患者様へ行った医療行為が、そのままクリニックの収益に反映される仕組みになっているのです。
また美容クリニックは医療行為だけではなく、化粧品や薬品などを販売することで利益を上げることができます。
ノルマがある場合、それを達成すればインセンティブが入るようにもなっているようです。
さらに人気の美容看護師は患者様から指名してもらえるため、指名料が給料へ反映されることもあるのです。
個人の努力が給料に反映しやすい環境が、美容クリニックにはあります。
またクリニックの売り上げが良いと、報奨金が支給されることがあるようです。
美容クリニックに転職を考えている方。
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美容クリニックは、一般病院と異なるスキルや能力が求められます。
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5. 看護師の給料・年収は条件により大きく異なる!
看護師の給料・年収の相場は400~500万円と言われていますが、条件により大きく変わります。
勤続年数や都道府県などさまざまですが、もっとも大きな要因はどの職場で働くかではないでしょうか?
個人病院より国立や公立の病院の方が、高収入の傾向にあります。
また介護施設やクリニックでは、一般病院より年収は低くなります。
看護師の相場と同じ金額を得るならば、夜勤をする必要が出てきます。
ただし美容クリニックのように例外があります。
美容に興味があり、高収入を目指したいのなら、美容クリニックへの転職もおすすめです。
6. 看護師の転職は給料・年収だけで考えるとキケン
働く上で給料は重要なファクターです。
一生懸命働いているのに給料が低いと、自分の頑張りが認められていないと感じてしまいます。
しかし給料面だけに注目して転職すると、失敗する可能性があります!
6-1.基本給だけに注目すると年収が減る可能性も!?
基本給のみに注目し転職した結果、年収が下がってしまったケースがあります。
主な原因として、次の2点が挙げられます。
・夜勤の回数が減ってしまった
・ボーナスが少なかった
これらは、しっかり情報を収集すれば防げる失敗です。
しかし面接で直接「年収がどれくらいになるのか?」とは、聞きづらいのが事実です。
そのような質問をすると、面接官からの心象が悪くなる可能性があります。
「1ヶ月の夜勤回数は何回ぐらいでしょうか?」など、給料に大きな影響を与える夜勤について質問するとよいでしょう。
基本給やボーナスは、求人情報にも記載されています。
夜勤回数が分かれば、だいたいの年収は計算できます。
6-2.やりがいを感じない
給料の高さのみで転職先を探すと、自分の興味のない診療科に勤めなければならないことも。
同じ看護師の仕事といっても、診療科が違えば行う診療内容も雰囲気も違います。
初めて経験する診療科であれば、一から勉強する必要もあるかもしれません。
興味のない分野の勉強を苦に感じる方もいるでしょう。
またやりがいを感じなくて、仕事がつまらないと思うかもしれません。
せっかく給料の良い職場に転職できても、看護師としてやりがいを感じられず辞めてしまう方もいるのです。
給料面だけでなく、自分が本当に働きたい職場なのかしっかり考えましょう。
6-3.働く環境が劣悪
看護師の給料の高い職場が、必ずしも良い環境とは限りません。
給料が高い分、力仕事が多いなど、過酷な労働内容の可能性もあります。
またいざ入職してみたら、多くの看護師が辞めていくような劣悪な職場環境だったということも。
看護師不足が深刻で、看護師を集めるために高い給料を設定している施設もあります。
ハードワークが続けば、最悪の場合身体を壊してしまうことにもなりかねません。
給料面だけに注目せず、本当に働きやすい環境なのか情報収集が大切です。
職場の雰囲気は、ホームページやパンフレットだけでは分からないことが多いです。
病院の口コミサイトで患者様から見た院内の様子を調べ、病院見学を行った上で判断すると失敗が少ないでしょう。
7. まとめ
看護師の仕事は非常に過酷です。
看護師としてキャリアを重ねると、仕事量も責任も増えます。
自分の仕事に見合った給料を貰えているかどうかは、モチベーション維持にもつながります。
看護師の年収は400~500万円が相場です。
しかし住んでいる地域や勤める病院により、大きく変わります。
給料面のみで働く場所を決めるのはキケンですが、「こんなに仕事量をこなしているのに…割に合わない」と感じたのなら、転職も視野に働き方を考えてみるのも良いのではないでしょうか?