2024.07.22
概要
- 夜勤がツラい
- 物価高なのに、お給料が上がらなくてしんどい
- 人間関係が嫌すぎて辞めたい
などの理由で転職を考えるナースに、今、圧倒的に人気があるのが『美容クリニック』です。
- 夜勤がなくなったのに給与額が変わらない、もしくは上がった
- 残業もほとんどなく心身が楽になった、余裕をもてるようになった
- 美容に詳しくなり、キレイになれた
といったことが人気の理由です。
しかし、人気が高まるとともに求人倍率が上がり、美容クリニックは現在、大変入職が難しくなっています。
どうすれば受かるのか?という質問をよくいただくので、この記事では〝面接に落ちてしまった具体例〞とともに、美容クリニックに〝受かるためのコツ〞をご紹介します。
美容クリニックの場合、面接はそのクリニックのスタッフが担当することが多いです。
看護師としての能力や、部下として、また一スタッフとしてどうか、という視点だけではなく
〝一緒に働きたいと思うかどうか〞という視点が入ります。
ですので、全ての面接でいえることですが、受け取り手の気持ちを考えた伝え方が必要となります。
<目次>
1,知ってるようで知らない美容クリニック
1-1.保険診療との違い
1-2.美容クリニックのスタッフに求められるもの
1-3.逆に相応しくないと思われる要素
2,〝面接失敗例〞
2-1.前の病院の退職理由
2-2.入職希望条件
2-3.志望動機
3,〝正解例〞
3-1.退職理由
3-2.入職希望条件
3-3.志望動機
4,面接で受かるコツ
4-1.退職理由
4-2.入職希望条件
4-3.志望動機
5,まとめ
1. 知ってるようで知らない美容クリニック
CM,雑誌やWEBサイト、口コミ
美容クリニックに関する話題はあふれていますが、残念ながら正確な情報と誤解が混ざりあっています。
美容クリニックへの転職を考えるなら、美容クリニックの実際をきちんと知っておくことが、大切です。
1-1.保険診療との違い
美容クリニックというと、まず自由診療であることを思い浮かべる人はとても多いです。
別コラム『看護師とメンタルケア』でも述べましたが、ただ単に〝治療費が高い〞だけではなく、自由診療であることは、美容クリニックを理解するうえでとても重要です。
自由診療ということは、保険診療が認められていないということです。日本では医療費が高額になり、深刻な社会問題になっています。
そのため、大勢の命を救うことが優先されるので、逆に言うと生命に直結しない疾患や、急を要さない治療は保険診療では治療が受けられません。
ですが、LGBTQやメンタルに深く関連する疾患(美醜や多汗など)で、悩んでいる人は大勢います。
そういった方々への治療の提供先が、美容クリニックになる場合が多いのです。
入院することはほぼなく、手術も日帰りです。
外来診療が主のため、患者と関わる時間も基本的に長くありません。
患者は、
『二重は〇〇クリニックが、いいらしい』
『有名な〇〇先生の予約がやっと取れた』
と、そのクリニックや医師を頼って全国から訪れます。
近隣からも来院されますが、飛行機や新幹線での移動はもちろん、前日から近くに宿泊して来院する、といったことも珍しくありません。
治療は一度で終わる場合もあれば、定期的に一定期間通う場合もあります。
大抵が完全予約制で、患者を待たせることはなく、時間内に治療を終えます。
保険診療の場合、『家から近い』とか『子供の頃からのかかりつけ』といった、利便性や習慣的な理由で病院を選ぶことがあります。
一方で美容クリニックの場合は、たくさんあるクリニックの中から、調べに調べて来院されます。
そういった背景から、受けられる医療を含め、サービス全体に対する患者の期待値は、高いことが多いです。
また保険診療の場合、患者は診断名や治療法がはっきりわからない状態で診察を受けることが多いです。
美容クリニックの場合は、患者の主訴が元になるため、身体の状態や治療法が全く分からない状態で、診察を受けることはありませんし、また治療の終了も患者が決めることが多いです。
1-2.美容クリニックのスタッフに求められるもの
美容クリニックでは前述の通り、患者の期待値が高いため、スタッフはそれに見合ったものを提供しなければなりません。
安全・安心な治療を受けられることはもちろん、接遇力も高い水準が求められます。
最初から、全てを完璧にこなせないといけないわけではありません。
ですが、素質としては
- 美容が好きで、興味や関心・探求心がある
- 他者とのコミュニケーションが好き
- しんどい時でも笑顔で対応できる
といったことが言われます。
1-3.逆に相応しくないと思われる要素
上記が苦手、かつ改善するための努力ができない人は、美容クリニックには向いていないといえます。
たとえば
- 美容の勉強は苦痛でやりたくない
- 人前に出るのが苦手で億劫、極力しゃべりたくない
- 思っていることが全部、顔や言動に出てしまう
といった点です。
できないことが問題ではなく、〝できるようになるために努力できる〞かどうかが、ポイントです。
転職先に美容クリニックを選ぶかどうかを考えるうえで、とても大切になります。
2. 〝面接失敗例〞
- 『人間関係があんまりよくなくて、続けていくのがしんどくなったので・・・』
- 『一通りできるようになって、プリセプターも終わったので、これ以上学べることはなさそうだなって思って』
など、転職先の面接では、事実かどうかに関係なく、言わない方がいいことがあります。
押さえておくべき点はいくつかありますが、
前職の退職理由・入職希望条件・志望動機
の具体例からお伝えします。
2-1.前の病院の退職理由 4選
『忙しすぎて、しんどくなりました。』
『希望休もだし、休みがとれなかったので』
『人間関係がすっごく悪かったんです』
『給料が少なかったので、もう無理かなって。』
2-2.入職希望条件 7選
『お給料は〇万円(高額)くらいがいいです』
『週休2日で有給消化も好きな時にできるとして。他にはどのくらい休日がありますか?』
『希望休は、回数制限ないのがいいです』
『残業なし、夜勤なしで。』
『土日祝は休みたいです』
『業務量は少なめで(一日の受け持ちは3人までで、など)。』
『人間関係良いって聞きました。本当に大丈夫ですか?悪いところでは、もう働きたくないんです。』
2-3.志望動機 3選
『夜勤がないので体力的にも、楽になると思いました。』
『夜勤しなくてもお給料が変わらないので、それなら美容クリニックがいいなって思いました。』
『残業ないって聞いて。夜勤もないし。最高だなと思って。』
3. 〝正解例〞
では、どういう言い方であれば、誤解を受けずに伝えたいことを伝えられるでしょうか。
ポイントは
- 否定的な言葉は極力使わない
- 内容は具体的かつ客観的で簡潔に
- ポジティブな内容・言葉が望ましい
です。具体例をみてみましょう。
3-1.退職理由
『毎日忙しいなか、いろんなことを学び経験するうちに、もっとたくさんのことを学びたいという気持ちになりました。
将来も含めて色々考えた結果、新しい環境に身をおきたいと思い、退職いたしました。』
『最初は些細な行き違いだったのですが、それからナースステーションの雰囲気が悪くなりました。
話し合いが行われて、師長さんや先輩も心配して、いろいろ声をかけてくださったんですけど、毎日患者様と笑顔で接するのもしんどくなってしまいました。
上司と何度も面談した結果、しばらく休んではどうかと言ってくださったので、退職を決めました。』
『病院での仕事は好きですし、やりがいもあって楽しく働けていました。
ですが、出産して育児をしている同僚が、お金のことや将来のいろいろなことに悩んでいるのを見て、働き方や自分の将来のことを考えるようになりました。
年齢的にもキャリアアップのタイミングだし、お給料も少しでも増えたら嬉しいなと思い、転職することにいたしました。』
3-2.入職希望条件
『前職では残業が日勤時で大体3時間、夜勤は月に8回ありました。
体調を崩すこともあり、元々体力には自信がありましたが、不安を感じることが多かったです。
ですので、月の残業は10時間くらいだとありがたいです。』
『以前は月に〇万円ほどのお給料でした。
夢があり、今貯金をしていることもあって、月に〇万円くらいを検討しております。』
『趣味で〇〇をしています。
私にとってリフレッシュし、仕事に対する高いモチベーションを維持するためにも大切な時間です。
そのために週休2日で働ける環境に身をおきたいと考えています。』
3-3.志望動機
『夜勤を月に8回しておりました。
体調を崩したことがあり、その際この仕事を長く続けていけるか不安に感じました。
夜勤のない仕事も検討しようと思い、クリニックに転職することを考えました。
その中で美容クリニックの求人があることを知り、前から興味もあったので、志願いたしました。』
4.面接で受かるコツ
NG例・OK例ともに、主に伝えたい内容は同じですが、受け取り方が違うと思います。
退職理由・入職希望条件・志望動機のNG理由と面接に受かりやすくなるための、ポイントをみていきましょう。
4-1.退職理由
退職理由は
- 入職したら、長く働いてくれそうか
- 困ったときにどう対応するか、トラブルシューティング
- 仕事に対する意欲はどのくらいか
といったことをみるために、聞きます。
忙しい、休みがとれない、といった理由であれば、
『入職後に突発的なトラブルで多忙になったら、うちもすぐ辞めてしまうかな』
『休みはとれるけど、急な勤務変更とか、希望休がとれないと辞めるのかな』
という印象につながりますし、
人間関係が原因なら、
『なぜ人間関係がそんなに悪かったんだろう?この子に否は少しもなかったのかな?改善のための努力はしたのかな?』
といった疑問につながります。
給料の安さが原因であれば、
『そんなにできる子なのかな?それとも高い給料じゃないと満足できないのかな?』
と良い印象にはつながりにくいでしょう。
そもそも、嘘をついていると思うわけではなく、退職した職場の労働環境が、実際どういった状況なのか、面接官にはわからないので、退職理由が正当かどうか判断できないのです。
前の職場に微塵もお世話になっていない、ということはないでしょうから、前の職場を貶めたり、批難するようなことは言わないようにしましょう。
4-2.入職希望条件
転職するなら、今よりいい環境にしたい、という声はとても多いです。
それぞれにとっての『理想の労働環境・条件』はもちろん違いますが、人気の環境・条件はあります。
つまり、自分が求める『理想の環境』は、未来の同僚も、同様に考えている可能性があるのです。
希望が重なると、全員の希望が通らない場合があります。
たとえば、一日にひとりしか休めないのに、同日に2人以上休みを希望したとしても、ひとりしか休めません。
師長に、別日に希望を変えるよう言われた経験がある方もいるでしょう。
同様のことが給料額や休日数、残業数などでも起こりえます。
すると状況によっては、ゆずり合わないといけなくなることがあります。
入職時に希望の条件をたくさん提示すると、
- そういったことや、周囲への配慮ができない
- 他者とゆずりあうことができない
のではないかと、疑問をもたれるきっかけになりやすいのです。
〝どうせ希望が全て通るわけじゃないから、ダメ元で全部言っておこう。〞
と本当に、全部の希望が叶うことを望んでいなかったとしても、その気持ちや考えまで相手に伝わりません。
他者や周囲への配慮ができない、協調性がないことは美容クリニックにおいては致命的ともいえます。
なぜなら前述の通り、美容クリニックは高い接遇力やサービス力が必要だからです。
疑問をもたれたり、誤解がうまれると当然採用からは遠のきます。
労働希望条件は2つ程度に絞るといいでしょう。
『これを諦めるくらいなら働きたくない』
と思うくらい、自身にとって大事な条件を考えましょう。
労働条件や環境に関する話は、とても繊細かつ重要な話です。
2つ程度、大切でゆずれない条件を絞ったら、なぜその条件が自分にとって大切なのかを、具体的に言葉にしてみましょう。
具体的な数字や、状況がわかる言葉がないと、個人の感覚に判断がゆだねられるため、自分の思いや考えが相手に正確に伝わりません。
たとえば『残業が多い』とはいったい何時間くらいを指すのでしょうか。
毎日1時間の残業で〝多すぎる〞と感じる人もいれば、ある人はすでに毎日3時間残業中のため〝毎日1時間か。残業少なくてうらやましい〞と思うかもしれません。
残業代で稼ぎたいと思っている人は〝毎日3時間の残業、本当にありがたいけど、もっと増えてもいいな〞と考えているかもしれません。
ですので、考えや思いを理解してもらえるよう、具体的かつ簡潔で、わかりやすい言葉を選ぶと、伝わりやすくなります。
4-3.志望動機
『条件が良かったから入職した』
と、自身の病棟に新しく入ってくるスタッフが言っているとしたら、どう感じるでしょうか。
仕事に対する意欲や、向上心が感じられるとは言えず、
〝美容のことには、あまり興味がないのかな〞
〝どうして、うちのクリニックを選んだんだろう〞と思われても不思議ではありません。
働く理由は人それぞれで、優劣がつくようなものでも、他人から責められるものでもないでしょう。
仕事に対する意欲も向き合い方も、人それぞれです。ですが、他人の労働意欲を低下させるような言動や雰囲気づくりは歓迎されません。
一緒に働きたいと思う言葉選びに変えるといいでしょう。
5.まとめ
面接では、もちろん嘘をついてはいけませんし、自分を良く見せようとする必要もありません。
ですが、伝え方を考えて、工夫する必要があります。
- 否定的な言葉は極力使わない
- 内容は具体的かつ客観的で簡潔に
- ポジティブな内容・言葉が望ましい
以上を心掛け、自身の看護師としての経験やアピールポイントを伝えましょう。
まだ面接に関して不安、、という方は
別コラム『看護師が面接で落ちる原因と対策7選!落ちた場合の対処方法も解説』
もどうぞ。
美容クリニックは年々人気が増加し、転職が難しくなってきており、自力での転職は困難です。
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