2024.05.07
概要
職場に転職ナースが配属になった。
彼女は仕事ができて、怖い先輩たちとも早々に打ち解けて、毎日笑顔で楽しそう。
自分たちにもすごく優しくておもしろい。彼女の周りにはいつも誰かがいてみんな笑ってて。
でも、私と年齢も経験年数もそんなに変わらないらしい。
なんでそんなに自分と違うのか。
彼女のことは嫌いじゃない、むしろ好きなんだけど、どこかちょっとモヤる。
そんな自分がまた嫌になって・・・
という経験は意外と“あるある”です。
実は単に転職に成功しただけで、転職ナースと既に在職しているナースとの“お仕事力”の差は、あまりない場合がほとんどです。
でもそうは思えないほどの差を感じることも、また“あるある”です。
上記は転職に成功した看護師のケースです。
看護師としての力量差がないとすると、誰でも転職に成功さえすれば、毎日が楽しく明るいものに変えられるかもしれません。
ですが、もちろん一度で転職に成功したケースばかりではありません。
転職勝ち組ナースたちは、何をきっかけに転職に踏み切ったのか。
一度でうまくいかなかった場合、それはなぜか、どんなことに悩み、何を考えたのか。
この記事では筆者の体験も交えながら、転職に関する情報やポイントをお伝えします。
転職にご興味のある方に、ぜひ読んでいただいて、今後の参考にしていただければと思います。
<目次>
1,ライフステージが変化しまして
1-1.結婚・出産etc
1-2.敵は残業・夜勤
1-3.保育所・これからの生活・何より育児、不安が山盛り
2,パート、日勤常勤という選択
2-1.育児中ナースの王道
2-2.日勤常勤で勝ち組?
2-3.こんなはずじゃなかった、やっちまったなぁ
3,やっぱりパート?キャリアアップも欲張ってみる
3-1.パートでも高望みしたらダメですか?
3-2.育児中でもキャリアアップしたい
3-3.転職、最後にしたい…
4,まさかの、でもアリよりのアリ?美容クリニックという選択
4-1.残業ほぼなし・夜勤なし
4-2.保育所・これからの生活・育児、不安解決?
5,まとめ
1. ライフステージが変化しまして
そもそも看護師が転職を考えるきっかけはなんでしょうか。
- 人間関係で悩みがある、辛い
- 残業、夜勤が多く心身が常に不調
- 休暇がとれない
- 労働内容に給料が見合っていない
- 仕事の責任、重圧が重すぎる
などが退職の理由として、よくあがります。
ですが最も多いのは、『結婚・妊娠・出産』で、これだけで離職の全体の半数を超えます。
1-1.結婚・妊娠・出産
看護師は働き盛りの年齢で、いわゆる健康な状態でも、勤務が忙しく過酷で、体調も常に万全とは言えない状況が、常態化していることが多いです。
そのような環境下では、妊娠していたり、小さい子供を育てたりしながら、安心して働けると思えなくても当然といえます。
また看護師は、女性スタッフの割合が多く、部署内での産休中・育休中のスタッフの分の業務を、分担しなければならないことも多いです。
自然と独身や子供のいないスタッフに、残業や夜勤業務が偏りがちになります。
一方、結婚したスタッフは、妊娠の時期をどうするか考えることが多く、妊娠中はもちろん、出産後も他のスタッフへの負担を考え、配慮し続けることになります。
独身時代に、周囲のスタッフがどのくらいの負担を負っていたかを理解しているからです。
もちろんスタッフ同士がお互いを思いやり、協力し合っていい関係を築いている職場がたくさんあります。
心苦しいことですが、そうしたスタッフの努力によって、スタッフが結婚・妊娠・出産に臨めているのが現状です。
1-2.敵は残業・夜勤
結婚・妊娠・出産を迎える看護師は、どのようなことに悩むのでしょうか。
もちろん個人差はありますが、大多数の人がまずぶつかるのが、“残業・夜勤問題”です。
時短で帰れるんじゃないの?と思われるかもしれません。
ですが、時短で帰るには、やはり周囲のスタッフの協力が必要不可欠となります。
- 時短の看護師自身が、仕事への責任感や周囲への遠慮から業務終了時間になっても帰らない
- 交代のスタッフが緊急の業務で交代できず、帰れない
こういった理由で、時短のスタッフを、スムーズに退勤させられない状況は珍しくありません。
そもそも看護師は常に人手不足の状態ですので、ある意味当然の結果となります。
- 周囲のスタッフと日頃からどのような関係性を築いているか
- 産休育休中のスタッフの人数
- パートの人数
- 時短スタッフの人数
といった要素によっても、スタッフが容易に退勤できるかどうか変わります。
しかし、自分が育休から復帰した時、どういった環境なのか、ある程度の予測はできたとしても、必ず予想通りになるわけではありません。
夜勤に関しても同様で、1年で復帰する場合がほとんどです。
そして復帰した日から夜勤も始まるため、
育休復帰日は子供の初めての誕生日
ということもあります。
3交代の場合は深夜に、変則2交代の場合は夕方から朝まで勤務することになります。
産休・育休中からわかっているため、家事や育児など対策を考えることはできますが、実行することはできません。
練習してみて、実際にやってみて、ずっと続けていくことは難しいと感じた場合、退職を検討したり、パートに切り替えることを考え始めるきっかけになるのです。
1-3.保育所・これからの生活・何より育児、不安が山盛り
結婚・妊娠・出産を迎える看護師が悩むことは、まだまだあります。
まずは、保育所に入れるかどうか、です。
少子化が深刻になり国や自治体がこぞって対策に乗り出すなか、いわゆる『保育所問題』は解決に向かっているといわれています。
ですが看護師の場合はまだまだ根深いです。
それには複数理由がありますが、
- 残業が減らない、業務終了時間が予測できない
- 夜勤がある
- 希望休がとれない
といったことが、まずあがります。
保育所は保育時間が決まっており、延長保育も限界があります。
また夜勤がある場合、夜勤中預かってもらえる保育所はまだまだ、多くありません。
昨今、見直され始めましたが、そもそも保育所には『慣らし保育』という期間があり、初日は数時間、2日目は半日、というように幼児と保育スタッフがお互いを知り合い、慣れていくための期間が設けられています。
当然この『慣らし保育』を育休期間中に終わらせておかなければならないのですが、保育所によって預けられる幼児の年齢が異なります。
たとえば、満1歳からしか預けられない場合、復帰初日から『慣らし保育』を始めざるを得ないのです。
また、早くから預けて、慣らし保育を終わらせておこうとしても、対象年齢のクラスに空きがない場合もあります。
『慣らし保育』自体が保育所によって日数が違っていたり、OKが出る基準が違っていたりするので、この日に慣らし保育が終わり、その翌日からフルタイムで働ける、という見込みで動くしかないのが実情です。
ここまでは、一般的な働く親の状況として、よく知られていることかもしれません。
しかし、保護者ナースになって、初めて知ったこともたくさんあります。
- 夜勤明けは子供を預かってもらえない
- 夜勤中の保育料は割増料金がかかり、夜勤手当のメリットがほぼない
- 延長保育も割増料金がかかる
- 毎日延長保育でいつも自分の子がひとりになっている
- 病児保育は小児科での診察が必要(出勤に間に合わない)
夜勤中から夜勤明けまで預かってくれる保育所もありますが、まだまだ少ないです。
発熱した子供と出勤してもいい病院もあります。
ですが、育児中ナースのサポートは、まだまだ万全とは言い難い状況が続いています。
保育料の負担により、働いていることによる金銭的メリットはあまり感じられず、子供に対する負い目もある。
働く育児中ナースの労働は、それを上回る、仕事に対する責任感やモチベーション、キャリアアップなど、様々な考えとバランスの上に成り立っているのです。
2. パート、日勤常勤という選択
とはいえ看護師は比較的、お給料が多く、
(別コラム人には聞きにくい看護師の経済事情(給与と年収は本当に高い?)参照)
子供が保育所に通う期間は決まっていて、いつまでも手がかかり続けるわけではありません。
子供の教育費や自分の老後など、働く理由には事欠かないため、働き続けることを選択する看護師は増加しています。
育児中ナースは、どのように考え、職場を選ぶのでしょうか
2-1.育児中ナースの王道
看護師として働くのを辞めてしまうと、技術が衰えたり知識が抜けたり、時代の変化に取り残されるのではないか。
そういった声をよく聞きます。
結論からいうと、技術に関しては、多少ぎこちなくなることはあっても、全くできなくなることは、まずありません。
ですが、知識に関してはそもそも、医療の世界は生涯学習が基本ですので、学び直しは必要不可欠です。
そして、離職している期間は看護師としての経験が積めなくなります。
育児中ナースにはそういった懸念に対して、とりあえずパートに切り替える、という選択がよく行われます。
- 残業がない
- 夜勤がない
- 週3回程度で心身への負担が少ない
- 家事・育児と両立しやすい
この点において安心感があり、続けやすいのが育児中ナースに人気の理由です。
2-2.日勤常勤で勝ち組?
パートは自分には向いてない、と感じる育児中ナースには、日勤常勤が人気です。
夜勤はせず、日勤だけの常勤です。
病院によっては遅出勤務が含まれることもありますので、その点だけ事前に注意しておけば、大きく意に沿わない勤務になる可能性は、まずないといっていいでしょう。
- 研修や会議への出席は必要
- 残業が発生する
- 土日の勤務が、他のスタッフと比べ、比較的多くなるケースが多い
こういった点が問題なければ、看護師としての経験を積むことができ、キャリアアップも可能ですので、育児中ナースにとって理想の働き方のひとつとなります。
2-3.こんなはずじゃなかった、やっちまったなぁ
育児中ナースの理想的な働き方である、パートと日勤常勤ですが、落とし穴もあります。
まず、パートの場合ですが、
- 収入は確実に減る
- 週4や週5への変更は難しい
- 業務内容がずっと変わらないケースが多い
もちろん時給を把握したうえでパートを始めます。
ですから収入もある程度予測できていることになります。
ですが、人生の変化の中で、予想していなかった出費が起こることがあります。
貯金が潤沢で困らないのであれば、問題ないかもしれませんが、先行きが不安になることもあるでしょう。
意外と仕事が楽しく、体調も良く、もっと働きたくなるかもしれません。
しかしその場合でも、パートは勤務日数を増やすことが難しいケースが多いです。
なぜならパートの時給は、常勤の給与よりも高く設定されている場合がほとんどだからです。
病院側からすると週4・5であれば、日勤常勤で働いてもらいたいのです。
また、常勤スタッフの成長と業務拡大のため、貴重な症例や研修の時間・機会は、必然的に常勤スタッフのみ、もしくは優先となります。
結果として、パートスタッフにはルチン業務や、フリー業務が優先的にまわってくることになります。
そういった業務が好きであれば問題ないでしょうが、変化がないことが苦痛に感じられる場合もあります。
この点に関しては、実際に体験しないとわからない部分も大きいため、予測が難しく、落とし穴になりえるといえます。
次に日勤常勤の場合ですが、基本的には夜勤をしないことが雇用契約上決められています。
ですが、産休・育休や感染症の流行によるスタッフの大量欠勤が起こった場合、出勤可能なスタッフが日勤常勤ばかりで、夜勤の人数が足りなくなると、どうなるでしょうか。
もちろん日勤常勤のスタッフに夜勤を強要することはできません。
ですが、雇用形態を変更することはできます。
本人の承諾があれば、雇用形態を変更し、夜勤に従事できるようになります。
こういったやむにやまれぬ状況で、夜勤を引き受けてしまうケースがあります。
特にコロナ禍は、人手不足が深刻になり、病棟をいくつか閉鎖せざるを得ない病院もありました。
その後、日勤常勤に戻れた看護師もいれば、そのまま夜勤も続けることになり、勤務を続けることがしんどくなって、結局病院を辞めた看護師もいます。
全ての病院、日勤常勤で起こるわけではありません。
ですが、新型コロナの大型流行は5年ほど続き、これは誰にも予想できない状況でした。
日勤常勤を選択する際は、後悔することのないよう、そういったケースも考えておいた方がいいでしょう。
3. やっぱりパート?キャリアアップも欲張ってみた
育児中ナースではなくても、パート勤務の看護師はいます。
日勤常勤は夜勤がないだけで、結局のところ常勤なので、それまでとあんまり変わらない、という認識で大丈夫です。
ではパートの場合はどうでしょうか。
3-1.パートでも高望みしたらダメですか?
『パートになるとお給料が減る』のは嫌
どうにもならないのでしょうか。
病院とそれまでの年収にもよりますが、多少すくなくなる。くらいにはできます。
それはパートには雇用形態の種類が多く、パートでもボーナスが支給される病院や週4・5の勤務が認められるケース、土日や祝日に休日手当が認められるケースがあるからです。
そもそも病院は一時的、または永続的な人手不足の解消のために、パートを募集します。
即戦力を求めている場合が多く、そういった理由で常勤よりも、雇用条件を良くしていることが多いのです。
時給自体が高めに設定されており、福利厚生も常勤に見劣りしない程度に、整えられていることが多いのは、このためです。
ただし、条件が良ければ良いほど、人手不足が深刻な場合が多く、また即戦力としての期待も高いため、慎重な対応が求められます。
3-2.育児中でもキャリアアップしたい
パートはキャリアアップが難しいと前述しましたが、方法がないわけではありません。
その方法は
- 未経験の分野に転職する
- パートでも研修や会議に参加できる病院に転職する
です。
意外に思われるかもしれませんが、病院はどこも人手不足の状態が続いているため、未経験の病棟でも、またパートでも研修や会議に参加させる病院があります。
研修や会議は、日勤時間外の場合も多いため、注意が必要ですが、こういった病院を選べば、パートでもキャリアアップを図ることが可能です。
未経験の分野は、自分に合っているか分からないこともあり、とりあえずパートで簡単な業務を行いながら症例について学び、本格的にしたくなれば常勤に変えることもできます。
ただし、中途半端にすると周囲の迷惑となるため、責任感をもち、最後までやり遂げなければなりません。
育児中ナースにとっては、家事や育児と両立しつつ、知識や技術の研鑽に励むことになるので、決して楽な道ではないことは、十分承知したうえで臨むのであれば、将来の可能性が広がる道のひとつです。
3-3.転職、最後にしたい…
妊娠・出産・育児と進んでいく中で、パートも日勤常勤も自分には合わない。
本当に自分に合う職場なんかあるのかな、もう我慢して、ワガママいわずどこかで働くしかないのか。
と悩む中、自分が転職した結果、合わないと感じた理由、続けることが困難になった原因を見つめることにしました。
別コラム『看護師の転職で後悔しないコツ!ポイントを押さえて転職を成功させよう』でも述べましたが、
これは、転職を考える際にとても重要なことで、転職に成功するためには必要不可欠な作業です。
- 残業、夜勤ができない
- 子供のイベント時は休みがもらえる
- 保育所の送り迎えができる
- 通勤時間が片道1時間程度
育児中ナースのあるある条件ではないでしょうか。
他にも
- 月に1~2日は希望休や連休がとれる
- 希望の研修に参加できる
- 教育体制が整っている
- 今よりお給料が増える
など、自分にとっての大事な理由をあげ、その理由に対し順位をつけます。
逆に気にならない条件もあげておくと、より転職に成功しやすくなります。
叶えたい条件がすべて叶う職場が見つかれば、もちろん控えめに言って最高ですが、その場合、選択肢がかなり狭まったり、競争率が高くなったりすることは、容易に想像できます。
これだけは譲れない、ここを我慢したら絶対後悔する、という条件をしっかり把握しておくことが、転職成功の大事なポイントです。
例えばお給料の場合は、夜勤が1~2回で済むなら、このくらいの金額でもいいかな、とか、いやいや、これ以上少ない金額は絶対いや、というようにある程度、幅をもたせて考えておくことも必要です。
休日や残業も同様のことがいえます。
4.まさかの、でもアリよりのアリ?美容クリニックという選択
筆者が転職した当時、美容クリニックへの転職ブームが始まるか始まらないか、くらいの時でした。
今では大変な人気となり、美容クリニックへの転職は、とてもではありませんが自力では難しい状況が続いています。
では、なぜそんなに人気があるのでしょうか。
4-1.残業ほぼなし・夜勤なし
育児中ナースのほとんどが、残業が難しく、また夜勤ができません。
しかし前述の通り、その時の病院の状況によっては、残業や夜勤をしないといけなくなる場合があります。
美容クリニックはクリニックのため、そもそも夜勤が存在しません。
病院によってはオンコール制をとっているところもありますが、呼び出し実績はほとんどありません。
美容クリニックは基本的に全ての診療が予約制のため、残業が発生すること自体まれです。
また、万が一発生したとしても予測がつく場合が多く、頻度も少ないため、家事や育児との両立はもちろん、生活リズムの安定が容易です。
4-2.保育所・これからの生活・育児、不安解決のきざし
美容クリニックは基本的に定時で退勤できます。
ですので、退勤時間は7時・8時と遅めの病院が多くはあるものの、早く退勤できるクリニックを選べば、保育所の送り迎えは問題なくできます。
子供がいなければいないで、勤務後の自由に使える時間が増えます。
勤務後にショッピングや映画を楽しむスタッフも、少なくありません。
土日祝は休みがほとんどありませんが、ある程度の希望休はとれます。
子供の行事に参加したり、平日の参観日に出席したりと、育児との両立も容易です。
続けやすい環境で経験を積むことができ、未経験の分野であることから、キャリアアップにもなります。
体力的にしんどいこともなく、安定して働けるうえ、夜勤をしていた時と同じくらいの年収が得られるので、将来への不安も解消されます。
産休・育休をとることもできました。
美容クリニックはスタッフの数が少ないため、ひとりひとりの技量はとても大切です。
近年プリセプター制度を導入する施設が増えています。
無理なくスムーズに成長できるよう教育体制が整えられているクリニックがほとんどなので、未経験でもブランクがあっても、安心して始められるのも有難かったポイントです。
5.まとめ
美容クリニックへの転職は、新卒・既卒・ブランク、あらゆる看護師におすすめです。
またすべてのライフステージの看護師におすすめです。
ライフステージが変わっても、続けられることはとても貴重です。
転職をお考え中の方はぜひ、美容クリニックを候補に入れることをお勧めします。
「かんごりすた」では、より良い転職にするために専門のスタッフがサポートしています。
美容クリニックへ転職をお考えの方は、ぜひ「かんごりすた」へご相談下さい。
どのような疑問・お悩みでも大丈夫です。
少しでも気になったら、ぜひお気軽にお尋ねください。
みなさまの転職が素敵なものとなるようお手伝いさせて頂けること、スタッフ一同こころよりお待ちしております。