2024.03.06
概要
看護師として働くなかで、また看護学生時代、授業で学んだことをきっかけに、新しい習慣を始めるのは、『あるある』です。
- ジムに通い始めた
- 昼食にお弁当を持参するようになった
- 推し活(次の休み希望は遠征)
健康管理やモチベーション維持など、様々な理由で始めて、続いたこともあれば、気付いたらしなくなっていたこと、いろいろあるでしょう。
美容クリニックの看護師は、美容のためにどのようなことをしているのか、患者様に聞かれることがしばしばあります。
基本的に美容クリニックのスタッフは、美容に詳しいのはもちろん、健康にも意識が高い方が多いです。
この記事では、美容クリニックの現場の看護師の方々が教えてくれた、実践している美容健康法について紹介します。
「無理せず時々ちょっと頑張る」
で、すぐに取り入れられる美容と健康の維持向上の方法ですので、興味がある方はすぐに始めてみましょう!
<目次>
1,美しい肌とは
1-1.皮膚の構成
1-2.肌に良いこと
1-3.肌の悪い状態とその対策
2,栄養はやっぱり大事
2-1.美容に必要な栄養素
2-2.栄養は経口摂取
3,運動は必要?
3-1.血流量が増加することで循環が良くなる
3-2.筋肉量の維持、向上
3-3.脂肪の貯蓄予防
4,睡眠も大事
4-1.理想の睡眠時間は6~8時間
4-2.睡眠貯蓄も有効活用
5,まとめ
1. 美しい肌とは
『美容』というと、きれいな美しい肌を想像する方もいらっしゃるでしょう。
そもそも『肌がきれい』とはどのような状態を指すのでしょうか?
- 潤いがあって張りがある
- つや、透明感があって肌理が細かい
- 色白でシミやアザがない
多少、価値観の違いはあっても、多くの人が
『こうなりたい』『憧れ』
が、なかなか叶わず悩んでいます。
こういった悩みの原因は、ほとんどが
表皮(角質層や基底層)
にあります。
ですが、「しわ」や「たるみ」となると、
真皮・皮下組織・筋膜・筋肉
といった組織にも原因があるため、複合要因の場合が多いです。
どうすれば今より肌の状態が良くなるのか。
まずは肌のことを知り、そこから今の自分に必要と思われることを探すのも方法の一つです。
1-1.皮膚の構成
肌とは皮膚のことです。
皮膚は体外から
表皮、真皮、皮下組織(脂肪層)、筋肉
と続きます。
体の部位によって違いはありますが、表皮0.2㎜程度で真皮は2㎜程度です。
皮下組織は脂肪層のため、体の部位による差や個人差が出やすく、また、筋肉も同様のためここでは厚さは省略します。
皮膚というと皮下組織までを指します。
美容と健康を考える場合は皮膚だけでなく、その下の筋肉まで含めて考えるのが良いです。
表皮は、体表から
角(質)層→顆粒層→有棘層→基底層
の4層でなります。
ここでは角質層と基底層をおさえます。
角(質)層は0.02㎜程の厚みですが、角層細胞がレンガ状に並び構成されます。
外部からの異物の侵入や刺激をブロックしつつ、水分の蒸散を防ぎ内部を保護します。
また、基底層はターンオーバーで知られ、基底細胞が分裂し新しい細胞を作っています。
大きさや色の揃った瑞々しい細胞が一定のリズムで作られる状態が理想です。
基底細胞には基底膜と呼ばれる膜があり、ここまでが表皮になります。
次に真皮は
乳頭層→乳頭下層→網状層
の3層からなります。
たくさんの付属器(皮脂腺・汗腺等)があり、皮膚の殆どの機能・役割を担っています。
コラーゲンとエラスチンで主に構成され、組織間にはヒアルロン酸があります。血管や神経もたくさん走っています。
以上を整理すると
- 角質は固くお城の城壁のような役割
- 基底層は新しい皮膚の細胞を作っている
- 真皮は弾性に富んでいる
となります。
また、以下内容もおさえておくと良いでしょう。
- 皮下組織はクッションと保温の役割
- 筋肉は皮膚の土台としての役割
1-2.肌に良いこと
上記から肌に良いものの条件がみえてきます。
- 表皮がバリア機能を維持、向上できる
- 定期的に適度な速度で基底細胞が分裂する
- 真皮がその弾力を維持、向上できる
- 脂肪が適温を保持し、クッションとしても機能する
- 筋肉が弾力を維持し、土台として無理なく機能する
健康な状態が、理想的なのはそうでしょう。
ですが、病気ではないのに、肌が理想的な状態じゃないのはなぜでしょうか。
皮膚は人体最大の組織で、
- 面積は1.6~2㎡、
- 重さは体重の16%程度で最大10㎏(皮下脂肪を含める)
それにも関わらず血液の循環ルートは最後の方になります。
脳や心臓、肝臓といった人体にとって大事な部分から、優先的に栄養その他もろもろが供給されていきます。
一方皮膚は、血管が細いのに面積が広く、また末端のため、届くまでにほかの組織より時間がかかります。
栄養その他は、病気になるほど足りていないことはないけど、十分といえるほど届いていない。
そして、換気や老廃物の排泄が多少滞っているという状態になりやすいのです。
体の細胞に必要なものは酸素と栄養で、体温は36.5℃以上が理想とされています。
1-3.肌の悪い状態とその対策
- 角質のバリア機能が低下する
- 基底細胞の分裂が乱れる
- 真皮の弾性が低下する
- 皮下組織のクッション性・保温性が低下
- 筋肉量が減る、弾性が低下する
こういった状態にならないようにしないといけません。
なぜなら角質のバリアが機能しないと、水分が蒸発することで肌が乾燥し、油分とのバランスが崩れます。
その結果、
- 肌の潤いが無くなる
- ニキビができる
といったトラブルが起こるのです。
バリアがないと、紫外線や大気汚染物質が体内に侵入します。
紫外線は真皮層を傷つけ、弾力を低下させますし、異物が侵入してくることで、真皮層のリンパ球(マクロファージなどの遊走細胞)に負荷がかかります。
紫外線から守るために、基底層ではメラノサイトが活性化しメラニンを生成するため、日焼けやシミにつながります。
皮下組織のクッション性が低下すると、転倒などの外的衝撃から、周囲の組織を守ることができなくなります。
受傷の程度がひどくなればなるほど、治癒にまわす栄養やエネルギーが増え、皮膚にまわってくる分は少なくなります。
また、脂肪や筋肉量の急激な変化は、皮膚は層状になっているため土台が崩れることになります。
その上の真皮や表皮も崩れるため、結果としてしわになります。
太っても痩せても、短期間での急な変化がよくないのはこのためです。
以上のことから
- 肌を適度に保湿する
- 清潔を保つ
- 適度な紫外線対策をする
- 暴飲、暴食はしない(体によけいな負荷をかけない)
といったことも肌の状態をよくするのに有効だとわかります。
2. 栄養はやっぱり大事
バランスの良い食事が理想だとわかっていても、日々の生活の中で充実させることは難しい、と悩む方も多いでしょう。
美容に有効な栄養素の効率的な摂取方法をみていきましょう。
2-1.美容に必要な栄養素
- ナイアシン
- パントテン酸
- ビオチン
- ビタミンA
- ビタミンB₁
- ビタミンB₂
- ビタミンB₆
- ビタミンC
です。
この中ではビタミンA、B₁、B₂は一般的に不足しやすいです。
ビタミンAはレチノールで注目を集めました。
脂溶性ビタミンのため、脂肪に蓄積できますが、裏を返せば過剰摂取のリスクもあるので注意が必要です。
ビタミン B₁、B₂ 、B₆、Cは水溶性ビタミンで体内に蓄積できず、尿より排出されるため、多めに摂取すると良いです。
2-2.栄養は経口摂取
栄養素は、血管やリンパ管から送られます。
この原則を踏まえると、経口摂取が主になります。
ただし、水溶性ビタミンのビタミン B₁、B₂ 、B₆、Cは熱に弱いため、加熱調理で含有量が減ってしまいます。
茹でると、茹でるお湯に溶け出し、加熱による破壊も合わさるため、含有量は激減します。
水溶性ビタミンの一日の必要量は摂取上限ではありません。
必要量を上回ったビタミンが美容効果に繋がります。
体内貯蓄されないため、調理する場合は毎日必要量より多めにしてもトラブルは起こりにくいです。
加熱調理した方が量を多く食べられますが、栄養の摂取効率は下がります。
生食の方が栄養の摂取効率は上がりますが、量を食べるのが難しくなります。
好みや体調、季節や食材に合わせて、加熱調理と生食を交互にするのがおすすめです。
調理や摂取の大変さが気になる場合は、サプリメントや注射での補充もおすすめです。
3. 運動は必要?
運動は健康にいいのはもちろんですが、美容効果もあります。
- 血流量が増加することで循環がよくなる
- 筋肉量の維持、向上
- 脂肪の貯蓄予防
といったことに繋がるからです。
3-1.血流量アップで循環良好
循環が良くなると、末端の細胞まで栄養や酸素がしっかり運ばれるようになります。
すると代謝がよくなります。
また、末梢の血流量が増加すると、特に顔など皮膚の薄い部分では血色が良くなります。
その結果くすみがなくなり、明るくツヤのある肌になります。
末梢まで温まり冷えが改善されることで、細胞の活動が活性化します。
美容にも健康にも好循環といえる状態にもっていくことができます。
3-2.筋肉量の維持、向上
筋肉量は加齢・病気以外に、栄養不足や活動量の低下・不足といったことでも減少します。
前述の通り、筋肉量の質の低下・量の低下や減少は、弾性の低下につながり、肌の土台としての役割が果たせなくなります。
張りがなくなり、土台が崩れることで、たるみやしわの形成を引き起こします。
3-3.脂肪の貯蓄予防
便宜上脂肪の貯蓄予防としましたが、実は少し違います。
脂肪細胞は、生涯その数が変わらないと言われています。
太ることは脂肪細胞の数が増加するのではなく、脂肪細胞じたいが大きくなっているのです。
余剰エネルギーが脂肪として保持されますが、現代医学では、大きくなった脂肪細胞を小さくすることは難しいです。
痩身では溶かしたり、凍らせて物理的に砕いて小さくしたりするなどして、体外に排出を促す手法が主に行われています。
前項の栄養でも述べましたが、健康維持の面からみても、食事量はある程度の量を採らなければいけません。
そうなると、摂取カロリーを減らすとしても限度があるため、結果的にカロリーもある程度摂取することになります。
筋肉同様に、脂肪も皮膚の層の一部であるため、極端な増減は層としてのバランスを崩し、たるみやしわといったトラブルに繋がります。
脂肪の貯蓄は外気温にも左右されるため、増やさず減らさず、一定量を維持することは容易ではありません。
つまり、なんらかの方法で調整しなければならなくなります。
4. 睡眠も大事
健康的な生活には適度な睡眠も大事です。
睡眠と美容の関係もいろいろと情報があふれています。
自分のライフスタイルに合わせ、効果的に睡眠を美容につなげるには、どうすればよいでしょうか。
4-1.理想の睡眠時間は6~8時間
一般的な成人の理想的な睡眠時間は6~8時間といわれています。
寝る時間(入眠時間)ではなく、継続して睡眠をとることでホルモンが出ることが分かっているので、〇時に寝ないと!ということはありません。
入眠して3~4時間で成長ホルモン、その後入眠から6~7時間後に美肌ホルモンが出ます。
どちらも美容にはとても重要なホルモンです。
夜に睡眠をとらないと、ホルモンバランスの崩れや発がんリスクの向上など、健康リスクは指摘されています。
ですが、現代人のライフスタイルは多様化しており、夜勤専従など夜間メインのお勤めの方もいるでしょう。
「自分は夜に眠るリズムではないから無理だ」
と気にしすぎることは精神安定上の理由でも良くないので、出来る範囲でまとまった睡眠を取るようにしましょう。
4-2.睡眠貯蓄も有効活用
賛否両論ありますが、
睡眠貯蓄(いわゆる〝寝だめ〞)
も体を休められることには違いないので、体調をみながら併せて行うのもいいでしょう。
睡眠中、臓器を休ませることは健康のために非常に大切なことです。
細胞の負担を減らし、栄養をしっかり吸収できる環境を整えることは、末端の臓器である皮膚にしっかり栄養を行き渡らせるのに重要です。
また、睡眠中にしか出ないホルモンもあり、精神面での安定にも睡眠は重要かつ不可欠です。
ホルモンはもちろん肌だけではなく、様々な臓器に作用し体調に影響します。
「枕を変える」「アロマを使う」など睡眠の質を上げることも有効です。
5. まとめ
1.~4.を原則として、これらのことをふまえ、美容クリニック看護師が教えてくれた、実践されている方法をご紹介します。
- こすらず32℃のぬるま湯で洗顔する
- 洗浄後の保湿は必ず行う。面倒な時はパックしてクリームを塗る
- 紫外線対策は毎日行う(飲み薬タイプが楽)夏は塗るタイプと併用
ビタミンDを併せてとる - 顔のマッサージは週に2回、1回1か所につき10~30秒程度
- 急なダイエットはしない
- 暴飲暴食してしまったらファスティングで調節する
- 通勤、帰宅のどこか1か所は階段を使う
- つま先で歩く(階段を上がる時だけでもOK)
- 睡眠をきちんととる(夜勤がないため規則的な生活を送っている)
- 摂取する栄養素はサプリメントで補う
- アームカバーで冷えと紫外線を予防する
- 外出時は日傘を用いる
無理のない範囲で、興味のあること・できることから、一つずつ始めるのがおすすめです。
現場の美容看護師は、その日の状態や季節に合わせて、この中から2つだけ、とか内容を変えて続ける、などの工夫もしています。
何もしなければ、加齢や外的・内的要因で、どんどんトラブルは進行します。
顕在しているものも、まだ潜んでいるものも、ちょっとしたことで進行を遅らせることができるので、ぜひ興味のある方は始めてみてください。
日々の努力では対処が難しくなったことも、美容クリニックでは対応可能な場合が多いです。
美容クリニックの看護師は、美容に関する知識が豊富なだけでなく、最新の情報もいち早くキャッチできます。
福利厚生が充実しているため、知るだけでなく様々な美容商品サンプルを試し、定番から最新の美容治療まで受けられるので、スキンケアもより良くアップデートしていけます。
また様々な働き方ができるので、長く働ける自分に合った職場が見つかります。
もっと美容に詳しくなりたい方、美容を頑張っている方に看護師として関わりたい方は、美容クリニックで働いてみませんか。
少しでも気になったら、ぜひ「かんごりすた」へご相談下さい。
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