2024.02.10
概要
LGBTQ、SDGsといった新しい言葉が広がり、それに伴って様々な活動が行われ、人々の考え方や意識が変わってきました。
そんな中、看護師の業務内容も変わり、大変幅広く、より専門的な知識や技術が必要とされるようになってきました。
今、看護は病気やケガの処置をサポートするだけではなく、包括的に行う仕事になっています。
しかし、診療報酬がつかず、評価されにくい看護ケアの一つに、メンタルケアがあります。
近年、転職先として人気の美容クリニックでは、このメンタルケアはとても大切です。
この記事では、そんなメンタルケアについてご紹介いたします。
<目次>
1,ウィーアー看護職
1-1.看護業界も多様化
1-2.社会の中の看護師
1-3.看護師の職場
2,今さら?今だから、メンタルケア!
2-1.メンタルケアってなんなのさ
2-2.必要としている人々
2-3.看護師だって〝ひと〞だってば
3,美容クリニックとメンタルケア
3-1.自由診療ということ
3-2.美容クリニックの患者像
3-3.わがまま?いいえ、それは悩み・不安です
4,まとめ
1. ウィーアー看護職
そもそも看護職とはなんでしょうか。
病院でお世話する人、と単純に捉えられがちですが実際はそうではありません。
「看護職」とは、保健師、助産師、看護師、准看護師の資格を持った人が、保健・医療・福祉の幅広い分野で人々に寄り添い、健康を守り維持できるよう、サポートする仕事です。
1-1.看護業界も多様化
日本看護協会は、看護師は「人を看る」という看護師独自の視点から、必要な看護を的確に判断する必要性を挙げています。
ただ単に病気やケガが治り、生命が脅かされなくなればそれで良い、というわけではないということです。
近年、LGBTQの方々への議論が活発になり、SDGsが謳われ、マイノリティもマジョリティと同じように生きることができる社会が尊ばれるようになりました。
それは単に良いとか悪いとかいう話ではなく、
『身体と精神の両方を大切にされるべき』
という考え方が、定着してきたからだといえるでしょう。
そして、入院生活の患者様の場合、身体だけでなく、精神面のケアも行うのは、主に看護師となります。
もちろん他にも、治療の専門分野化がすすみ、看護師も専門性の高い知識や技術が必要とされています。
働く場所も病院一択ではなくなり、いろいろな意味で多様化しています。
1-2.社会の中の看護師
〝看護師の職場は病院〞
というのが一般的でしたが、昨今看護師の活躍の場は幅広くなっています。
コロナ禍では街中で検査に明け暮れたり、宿泊療養施設に泊まり込みで、患者と向き合う看護師もたくさんいました。
災害チームの一員として被災地に行くこともあります。
被災地で避難しながら、看護師としての知識や経験を活かして、行動されている方もいるでしょう。
ドラマや映画だけでなく、新幹線や飛行機の中で、緊急を要する介助の対応を、必要とされる事だってあります。
近年は外国人が日本にたくさん訪れるようになりました。
看護師は、外国人観光客の日本観光ツアーに医療補助員として同行することもあります。
業務に応じて語学力やその他の能力が必要とされることはありますが、日本の医療水準が高いと評価され、看護師の能力も評価される中、様々な場所で看護師が必要とされるようになってきています。
1-3.看護師の職場
別コラム『看護師の働き方改革』でもご紹介しましたが、それに伴って、看護師の就職先も、年々広がっています。
- 総合病院(保険診療)
- クリニック(保険診療)
- 訪問看護
- 美容クリニック
- 健診センター
- 介護老人保健施設
- 障害者支援施設
- 産業看護師
- 看護教員
- 保育園、保育所、幼稚園
- シップ、イベントナース
などです。
2. メンタルケア
看護師はいろいろな場所、状況で幅広く活躍します。
それに伴い、あちこちでメンタルケアが必要な場面に遭遇します。
ですが、そうわかっていても、メンタルケアが苦手という声は多いです。
- 正解がわからない
- 何がメンタルケアになるのか、よくわからない
- おしつけがましくなってないか、心配でできない
- そんなに必要とされてなさそう
といったことが、理由としてよくあがるでしょう。
しかし、メンタルケアは実は難しくありません。
2-1.メンタルケアってなんなのさ
メンタルケアとは、メンタルヘルスケアと言われることもありますが、
『人の精神面の健康を守り、保つためのケア・サポート』
のことです。
プラセボ効果や「病は気から」のように、身体と精神は強い相互作用があると言われています。
しかし現実は、処置をされている方の心や、気分のちょっとした変化に対しては目を向けられないケースがあり、残念ながら、対応されないこともありました。
たくさんの患者が待っていて、ドクターやナースが少ない環境で、致し方ない面もあったかもしれません。
例えば、ナースコールで呼ばれ「眠れない」と言われたとします。
むやみに睡眠薬を使うのは体に良くない、という判断から
「思っておられるより体は疲れています。布団を被って目を瞑ればそのうち眠れますよ」
と言う看護師がいるかもしれません。
看護師は配慮したつもりでも、この対応で眠れなかった場合、患者が抱えている「眠れない」という問題の解決策にはなりません。
身体的な問題でなければ精神面での問題を探し、解決する必要があります。
手や足を温めながら話を傾聴することで、入眠を促すことができるかもしれません。
睡眠薬をうまく使えないか、担当医や薬剤師に相談してもいいでしょう。
場合によっては、看護師の人数が少ないから、ひとりの患者にそんなに時間はさけない、と反対されることもあるかもしれません。
その場合は日中に、どうすれば問題を解決できるか、患者と話すだけでもいいのです。
眠れないという訴えを、ただのわがままとして捉えるのではなく、ニーズの一つとして受け止めて対応した上記の対応は、言い換えると
- 話を聞いてくれた
- 一緒に悩んでくれた
- 解決策をいろいろ考え、教えてくれた
ということになります。
これらはどれも
〝自分のことを心配して、心を痛めたり悩んだりしてくれている人がいる〞
と相手に伝わるでしょう。
それだけで、とても素敵なメンタルケアになるのです。
2-2.メンタルケアを必要としている人々
厚労省によると
『新型コロナウイルス感染症の拡大及びこれに伴う行動制限等の対策によって、感染に対する不安や、行動変容に伴うストレスが、心理面に多大な影響を生じている』
とされています。
こうした心理面への影響を、把握することを目的に実施された「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査結果」では
- 神経過敏に感じた
- 気分がそわそわし、落ち着かなく感じた
- 気分が落ち込んで、何が起こっても気が晴れないように感じた
といったことが、あがりました。
また、令和6年は大震災が何度も起こりました。たくさんの方が避難生活を余儀なくされ、不便を強いられました。
LGBTQの方、いじめやハラスメント被害に遭われた方、そういった状況ではないけど悩んでいる方、懸命に日々を生きておられる方が、世の中にはたくさんいて、多くの場面でメンタルケアが必要とされています。
2-3.看護師だって〝ひと〞だってば
そして、看護師も過酷な労働環境の中、メンタルケアを必要としている方がたくさんいます。
気を付けたいのは、一見様子や体調がおかしくない、自覚症状もない、
『隠れ』がいることです。
自身はどうでしょうか。思い当たる節があるなら、少し休みましょう。
立ち止まるだけでも違います。
そして、そんなときに掛けてもらって嬉しかった言葉や、してもらってホッとしたことがあるでしょう。
それらを記憶や形にして残すといいです。
メンタルケアを行うときの、とっておきのヒントになります。
3. 美容クリニックとメンタルケア
メンタルケアが、仕事の重要な部分を占める職場の一つに、美容クリニックがあります。
(別コラム 知っておきたい美容クリニックのよくある面接失敗例と、受かる秘訣参照)
なぜ美容クリニックでメンタルケアが必要になるのでしょうか。
3-1.自由診療ということ
日本の医療保険制度は、世界に類を見ない素晴らしいもの、と評価されています。
ですが、医療費の圧迫は大きな社会問題になっています。
病気やケガで苦しむ人々を一人でも多く救うために必要なことですが、金額の問題もあり、どうしても保険が適用される疾患や治療は限られます。
その結果、治療の副作用として起こる脱毛・薄毛や、乳がん手術後の再建(一部保険可)などは保険の適用外です。
また、いじめやハラスメントといった理由で脱毛や顔の整形手術を受けるのも保険適用外です。
『心を守るために』
『誰かのために』
『QOLのために』
美容クリニックで治療を受ける人も世の中にはたくさんいます。
その方にとって、必要としている治療が自由診療だったからです。
明るく華やかなイメージをもたれることが多い美容クリニックですが、そういった一面もあります。
だからこそ、美容クリニックではメンタルケアも重要な業務の一つであり、看護師としての高い能力が必要とされています。
3-2.美容クリニックの患者像
美容クリニックというと、
シミやシワをなくす肌治療や、「目元を二重に」「鼻を高くする」
などの施術を思い浮かべる人が多いでしょう。
一見すると、さほどメンタルケアが必要そうには感じられないかもしれません。
美容クリニックの場合、来院目的(主訴)がはっきりしていて、〝自身の病名や予後が分からない〞というようなことはありません。
しかし来院までに、個人差はあるものの、相当な労力をかけて来院されます。その理由は複数あります。
- 自費になるので治療費が高額になりやすい
- 自分の理想通りの仕上がりになるかわからない
- 騙されたくない
- 最短で治療を終えたい
こういった思いから、WEBで調べて、また実際に話を聞くなどして情報を集め、治療を依頼したい医師やクリニックを選んで、来院されます。
確かな知識や技術、信頼性をもとめ、数えきれないほどたくさんあるクリニックの中から、〝ここ〞と思うクリニックを選んでお見えになるのです。
遠方のため、前日から移動してクリニックの近くに宿泊したり、夜行バス・新幹線・飛行機等で来院することもあります。
脱毛やマシンを用いたHi-Fu等の美肌施術など、美容クリニックは一定の間隔で定期的に通わなければならない治療も多いですが、そういった場合でも遠方から通う患者もいます。
保険診療の病院よりも、患者自身が〝そのクリニックを選んで足を運んでいる〞という意識は高く、また事実です。
その分、クリニックに対する期待値は高いことが多く、またサービスも相応のものが必要とされます。
3-3.わがまま?いいえ、それは悩み・不安です。
多くの患者にとって、医療知識がないことは、コメディカルが想像する以上に、患者を不安にさせます。
非コメディカルの家族や親しい友人を思い浮かべると、分かりやすいかもしれません。
治療契約を結び、いざ治療を始めるために準備をお手伝いしていると、患者がボソッと
「この治療、人気あるん?」
「効果あるんよね?」
「みんな痛くないって言うけど、私痛がりで・・・。あんまり痛い痛いって言ったら、先生嫌がられるよね・・・?」
といったことを言われることがあります。
こういったことは、現在病院にお勤めの方には『あるある』だと思います。
保険診療でも自由診療でも、こういった場面で患者が不安を訴えられることは、珍しいことではありません。
美容クリニックの場合
「自分で選んだクリニックだから」
「しなくてもいい(生命が脅かされないという意味で)ことするのに、これ以上わがまま言えない」
といった思いから、なかなか不安を表出できない方も多いです。
不安はバイタルを乱し、痛みを強くし、回復を遅らせます。
カウンセラーと患者を担当し、カウンセラーがメンタルケアの大部分を担うクリニックもありますが、治療現場においては、主にメンタルケアを担うのは看護師です。
不安の解消もある意味において、患者のニーズの一つであり、看護ケアが求められます。
施術を通して患者様との関係を構築し、それを治療に反映させていくうえでも、メンタルケアはとても大切です。
美容クリニックは、患者に寄り添い、最適と思われる治療を勧めることができます。
そのことを医師に上申することも、積極的にできるため、保険診療よりも、看護師の裁量が大きいです。
ですから患者のニーズはもちろん、ライフスタイル等もしっかりと把握しておかなければなりません。
その中で患者様が不安を訴え、今後の不安に繋がりそうな事案をみつけたりすることも少なくありません。
患者様が不安を解消し、安心できるように努めることは、美容の知識や技術を磨くことと同じくらい大切です。
まとめ
これから転職を考えている方や美容クリニックへ興味をお持ちの方にとって、何かきっかになる情報や記事となればと思っています。
「かんごりすた」では、より良い転職にするために専門のスタッフがサポートしています。
美容クリニックへ転職をお考えの方、未経験だけど美容クリニックでチャレンジしてみたい方、ちょっと話を聞いてみたいだけの方等、お悩みの方は「かんごりすた」へご相談下さい。
どのようなお悩みでも大丈夫です。迷っておられるのはもったいないので、ぜひお尋ねください。
みなさまの転職が素敵なものとなりますよう、お手伝いさせて頂けますこと、スタッフ一同こころよりお待ちしております。