2023.12.30
概要
「美容クリニックへ転職したい」
「友人が美容皮膚科に転職したので興味がある」等、
美容系クリニックへ転職をお考えの看護師の方から頂くご質問の中に、顔についてのご質問があります。
顔で面接の合否が決まることは基本ありませんが、回答に困ってしまう質問でもあります。
「なんだ、やっぱり採用に顔面偏差値は関係あるのか」と思われがちなのですが、そうではありません。
この記事では、美容外科・美容クリニックへ転職をお考えの方にとって、役立つ情報をご紹介します。
今回は美容クリニックの採用基準ついてご説明をします。
顔採用ってホント?
「美容クリニックの看護師はキレイな人ばかりだから、きっと見た目で採用されている」とか「どんなに勤務経験とか能力があっても、結局面接で顔見て落とされるらしい」といった話やSNS等でも時折そういったつぶやきを見かけます。
顔だけで判断されることはありませんが、クリニックにはそれぞれ大事にしているイメージがあります。そのため、そのイメージに合っているかどうか、という意味で容姿や雰囲気が重要視されることはあります。
現在のお勤め先、または病棟実習を思い出してみてください。
内科・外科・産科・整形外科・小児科等、病院には様々な診療科がありますが、ある病棟は時間がゆったり流れているように感じ、また、ある病棟はわいわい賑やかで明るい雰囲気といったように、科によって時間の過ぎ方や病棟の雰囲気も様々です。
同様に美容クリニックも「脱毛専門のクリニック」から手術を得意とし、件数を多くこなす「美容外科クリニック」など様々なクリニックがあり、そのクリニックのカラーのようなものがあります。そのカラーに合うかどうかが採用可否の判断のひとつになることがある、ということです。
身だしなみは重要
美容クリニックでは、受付・カウンセラー・看護師全てのスタッフが、そのクリニックの印象に大きく関わってきます。そのため、清潔感のある身だしなみは重要視され、ネイルや接遇などは採用基準の判断になり得ます。
美容クリニックが求める人材
美容クリニック側が「働いて欲しい」もしくは「一緒に働きたい」と求める人材は以下のような項目が挙げられます。
・向上心があり、知識や技術の研鑽に励める方
・美容が好きで新しい治療や化粧品にも興味を持って取り組める方
・人と関わることが好きで、患者様と良好な関係を築き、周囲のスタッフと協力して業務にあたれる方
このように、決して顔面偏差値ではありません。
なぜ、顔面偏差値は重要ではないのか
「顔面偏差値が高い」とは、いったいどのような状態を表すのかと考えた場合、言葉にするのは非常に難しいと思います。それは顔の作りには共通の明確な基準が存在しないからです。
広告や映画にはたくさんの俳優が登場します。そのすべての俳優を美醜で順位を付けると考えた場合、いかがでしょうか。
ヒーロー・ヒロインは当然魅力的だとしても、脇役や悪役も魅力的なことがあります。そして、その魅力は単なる顔の造形やスタイルだけではありません。
また、その時の流行や地域性で、"良い"という評価は様々なものに影響されます。眉毛の太さや体形(スレンダーか豊満か)等が代表的で、昔の和風美人と現代日本人の美人の評価はかけ離れていますし、肌も色白が流行る時もあれば、健康的な小麦色が流行る時もあります。
スタイルや肌の色がどうあればいいのか一概に言えないのと同じで、顔に関しても簡単に評価できるものではないのです。
顔だけが採用基準ではない
顔のバランスにも実は黄金比というものがあります。
シワがお悩みの方は「シワなんか一本もいらない」と思われるかもしれませんし、シミでお悩みの方の中には「シミを撲滅したい」という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、顔の黄金比には否定的な意見も多くみられます。なぜなら、黄金比通りの顔は、場合によっては「特徴のない顔」「同じような顔」になってしまうからです。
同様にシワを一本も残らず無くしてしまうと、笑っても怒っても表情の変化が乏しくなり、作り物の顔になってしまいます。
ホクロも同様で、消したい方もいらっしゃれば、目元や口元にホクロのアートメイクを入れる方もいらっしゃいます。実際、目元や口元のホクロがあることで、魅力ある顔、素敵な顔の方もたくさんいらっしゃいます。
SNSの発達により簡単に写真を検索・閲覧できるようになった影響で、人気のタレントさんと同じ目元になりたい、鼻の形にしたい、といった要望が殺到し問題になったこともあります。結果、同じような顔の方が増えてしまったからです。
仮に美容クリニックで働くスタッフや看護師全員が、同じような顔だったとすると、怖さを感じると思います。
顔の個性や特徴は人それぞれ違うため、その方らしさがあり、魅力になります。美容クリニックでは、その方らしさを大切にしながらお悩みを解消する治療を行いますので、全員に全く同じ治療を行うわけではありません。
そのため、顔の基準というのは、非常に難しく、顔だけが採用基準になることはありません。
美容看護師の役割
そもそも美容クリニックでは看護師はどんな業務をしているのでしょうか。
別コラムの"美容クリニック看護師のお仕事内容とは"でも書きましたが、脱毛やHi-Fu等の機械で行う美容施術など、多くの施術を担当します。
それだけではなく、施術を通して患者様との関係を構築し、それを治療に反映させていくことも行います。当然医師と患者様の橋渡しやカウンセラーとの情報共有は重要業務であり、また保険診療よりも看護師の裁量が大きくなりがちです。
負担が大きいといった悪い意味ではなく、患者様に寄り添い、最適な治療を勧めることで、医師に上申することが積極的にできるようになります。そのため、大変やりがいがあり、また結果がフィードバックされやすいのです。
治療効果がすぐにわかる施術も多いため、患者様がお喜びになる姿を処置直後に見られますし、一緒に喜ぶこともできます。
これは美容クリニックならではかもしれません。
患者様との関係構築が重要
保険診療でも治療を円滑円満に進めるため、患者様との関係構築は重要視されますが、美容クリニックの場合はそれだけではありません。
みなさんは日頃病院に行く際、どういう基準で病院を選ぶでしょうか。
「家から徒歩圏内の病院」「小さい頃から通っているクリニック」など基準は様々です。
美容クリニックの場合、患者様は確かな知識や技術、信頼性を求め、数えきれないほどたくさんあるクリニックの中から、ここと思うクリニックを選んでお見えになります。
夜行バスや新幹線で、定期的に遠方からお見えになる方も少なくありません。自由診療のため、治療費が高額になることも珍しくなく、保険診療の病院よりも、患者様がそのクリニックを選んで足を運んでいるという意識は高く、また事実です。
そういった患者様の施術を担当します。当然必要とされるのは、見た目がどうかといったことではなく、確かな知識や技術、信頼性です。詳細は後述しますが、看護師としてそういったことができるかどうかが、とても重要です。
看護師=クリニックのイメージといっても過言ではない
医療者が患者様に生活指導を行う際、医師や看護師が不健康そうな様子であったとすると、患者様はどう思われるでしょうか。
手指衛生の重要性を説明している看護師の爪が、キラキラネイルだったら?
そういった理由で医療者には健康的で清潔感があることが求められます。
同様に美容クリニックのスタッフに清潔感がある場合とない場合では、クリニックの印象も全く違ってきます。
患者様に寄り添う
今現在病院にお勤めの方は、患者様から
「ねえ、この治療って、どのくらいの痛みなの?」
と聞かれてお困りになったことはありませんか?
どんなに勉強・見学しても、経験していない以上、分かりません。
だからといって病気になっているわけでも、ケガをしているわけでもないのに、治療を体験することはできません。
その治療を経験された方のお話を参考にし、先輩からのアドバイスで対応するしかないのが現状です。
でも美容クリニックは違います。
もちろんすべての治療メニューが体験できるわけではありませんが、美容クリニックに来院される患者様は、基本的に健康な方が殆どです。
ですので、健康なスタッフが治療を体験することに何の問題もなく、むしろ自ら体験することで患者様にたくさんのことがお伝えできるようになり、業務の幅が広がります。
美容治療に常に向上心を持って取り組む
スタッフ自身が乾燥に悩んでいるかもしれませんし、痛みに弱いかもしれないし、針が苦手かもしれません。
いろいろな方がいらっしゃるとはいっても、美容に関するお悩みは共通していることがあります。
「この時期にはこの治療がいいな」とか「この年代にはあの治療がすごくいい」など自身で体験したからこそ、自信をもって患者様に勧めることができますし、いろいろな治療方法を知っていることで、患者様に寄り添い最適な治療をご提案することができます。
実際に体験したことのある、普段担当してくれる看護師さんが勧めてくれたから、やってみようかなと思って頂けることもあります。
針を刺す痛みや鈍痛など自分の苦手な痛みの種類や痛みの閾値を把握してくれている、また今までの治療の結果を知っているからこそ、自分に合うと思って勧めてくれたのだと、患者様が感じてくださることもあります。
カウンセラーと情報共有した結果この患者様のライフスタイルなら、とか短期間での治療をご希望だから、など個別性をふまえたうえでの治療をご提案できたなら、看護師が勧めた治療をやってみようかなとお受けになられるのも、不思議なことではありません。
いろいろな治療を体験することで、結果として自分自身も悩みが解消し、気分も上がって楽しく働けます。
美容クリニックのスタッフが自施設の治療を体験することは、美容クリニックではとても大事なことなのです。
顔面偏差値なんか関係ない
以上の理由から、美容クリニック看護師に顔面偏差値など関係ないのです。
それよりも正確な知識や技術を有しているか、患者様に最適と思われる看護を展開できるか、患者様に寄り添い関係が構築できるか、そういった能力が必要とされており、履歴書や面接を通して採用の可否が判断されます。
何年経験しようと新しい知識や技術の習得が必須でそのために努力できるのか、周囲と連携できるのか、採用担当者が知りたいと思っていることは美容クリニックだからといって特別なことはなく、他のどの病院とも同じです。
現在病院でお勤め中の方は、今まで培ってこられたものをそのままお伝えになるだけで十分です。
新卒で病院でのお勤め経験のない方も、ブランクのある方も大丈夫です。
保険診療の病院と同じで"伸びしろ"含めて採用の可否が決まるからです。
大事なのは、あくまで看護師力なのです。
病院での勤務は、ただ担当患者様のケアを行うだけではないと思います。解剖生理や薬学動態などを理解していなければ、治療の意味や効果は分かりませんし、看護計画を立案・実行しても思う通りにいかず修正を重ねないといけないこともあります。
美容クリニックが保険診療のクリニックと違う点のひとつに継続性があります。「内服して治ったら終わり」ではなく、脱毛や薄毛の治療等は回数が必要であり、長期間、通院していただく場合があります。
コメディカルの一員として周囲と連携をとることや患者様と関係を構築することが、最適な看護を展開し、提供し続けるために、とても大事なことがお分かりいただけると思います。
まとめ
「かんごりすた」では、より良い転職にするために専門のスタッフがサポートしています。
美容クリニックへ転職をお考えの方、未経験だけど美容クリニックでチャレンジしてみたい方、ちょっと話を聞いてみたいだけの方等、お悩みの方は「かんごりすた」へご相談下さい。
どのようなお悩みでも大丈夫です。迷っておられるのはいろいろもったいないので、ぜひお尋ねください。
みなさまの転職が素敵なものとなりますよう、お手伝いさせて頂けますこと、スタッフ一同こころよりお待ちしております。