2023.12.10
概要
美容クリニックの看護師は日頃、どのような業務をこなしているのでしょうか。
美容外科=整形と思っている方も多く、エステ内容の医療版とお考えの方も少なくないかもしれません。
美容クリニックの治療メニューは多岐に渡り、転職後に「思っていた業務内容と違う」「覚えることが多く、自信が無い」「予想外の業務への従事が多い」という理由から辞めてしまうことも少なくありません。
美容クリニックでは、勤務経験が全くない方もたくさん活躍されていますので、未経験であることをご心配になることはないですが、事前に入職を希望するクリニックの治療メニューや、得意な施術を把握しておくことは円満に転職するために、また、転職したことを後悔しないために大切な事です。
では、実際どんな治療があるのでしょうか。
美容外科、美容皮膚科で行っている一般的な業務内容をご紹介します。
シミ・シワ除去、美肌治療
注入治療(メソセラピー)
シワにはヒアルロン酸やボトックスが多く用いられます。
また、コラーゲンやPRP(多血小板血漿)等も人気の治療です。
機械治療
シワ・たるみ・くすみ・毛穴拡張等に対し、レーザーを照射します。
治療方法は、医師の診断の元、患者様の意思決定にて決まります。
複数の治療を併用することもあり、様々なパターンがあります。
手術
二重やたるみ取りといったCM等でよく見かけるものから、脂肪吸引や傷跡修正、婦人科領域や泌尿器科領域のものまで幅広く行われています。
外来処置レベルの知識や技術で介助可能なものもある一方、滅菌操作や器械の知識・術後管理等高度な知識や技術が必要とされるものもあります。
麻酔の方法は局所麻酔か全身麻酔の場合が多く、美容クリニックでは入院施設がないことが殆どのため、下半身麻酔が行われる可能性はないと考えて頂いてよいかと思います。
タトゥー除去
レーザー治療
レーザー照射により色素を粉砕し、代謝により体外に排出されることで減退・消失させます。
切除
部分的に切除します。レーザー治療と併用されることもあります。
多汗症治療
注入治療
ボトックス(A型ボツリヌス菌毒素)を局所に注射します。
機械治療
専用の機械で患部を照射し、汗腺を破壊する治療法です。
皮膚を切らずに治療が可能なため、施術後のダウンタイムがほとんどありません。
切開法
ワキの汗腺を切除する方法で腋窩の場合に施行されます。
痩身
脂肪吸引
専用器具で吸引または超音波やレーザーを併用する場合もあり、粉砕した脂肪組織を吸引します。
投薬治療
内服薬もしくは注入治療と併用します。注入治療ではボトックスもしくは脂肪溶解薬を局所に投与します。
メディカルダイエット
内服薬と主に食事メニューや運動指導等と組合せ、患者一人一人に合わせたダイエットサポートを行います。
上記治療法と併用する場合もあります。
機械治療
脂肪細胞を凍結させる、または電磁波を用いて代謝を促進させます。
豊胸
注入療法
ヒアルロン酸や脂肪(自家移植)等を注入します。治療は局所麻酔もしくは全身麻酔で行われます。
手術
シリコンバッグをバストに挿入します。全身麻酔下で行われ、上記注入治療と併用されることもあります。
薄毛治療
投薬治療
主に薄毛の進行を予防・抑制する薬と育毛を促す外用薬を併用します。
注入治療
育毛・発毛成分を直接頭皮に注入する治療法です。注入する薬は、海外輸入薬やPRP(多血小板血漿)、ペプチド化合物、クリニックオリジナルカクテル等が用いられます。
自毛植毛
自身の毛根を薄毛部分に移植する治療法です。
レーザー治療
頭皮に赤色LEDもしくは低出力レーザーを照射し、毛根を活性化・育成させる治療です。
その他の治療
脱毛
医療機関でしか取り扱いが出来ない高出力の脱毛器(蓄熱式・熱破壊式)で全身のあらゆる箇所へ照射します。
ピアス
耳たぶはピアッサーであけ、耳介軟骨やボディはサーフローが用いられることが多いです。
アートメイク
⽪膚にニードル(針)を⽤いて⾊素を注⼊します。
眉やアイライン等が人気で看護師または医師が行います。
脂肪注入
シワやたるみ等の改善を目的として、採取した自身の脂肪を対象箇所に注入します。
また、更年期障害やジェンダー等、男性・女性それぞれのお悩み解決のため、ビタミン剤投与・ホルモン療法や手術、アフターピルの処方等を行っています。
美容クリニックの診療内容は多彩
上記以外にも美容クリニックの診療内容は多岐にわたって様々な治療を行っており、中にはあまり知られていない施術もあり、施術メニューは各美容クリニックでも大きく異なります。
「多すぎて、とてもじゃないけど、できる気がしない。。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、大丈夫です。たくさんの方が美容クリニックの看護師として働き、活躍しています。
大事なのは、自分がどんな看護師になりたいのか、美容クリニックでどんなことをしたいのか、しっかり考えることだと思います。
美容クリニックの診療内容を踏まえたうえで、実際の業務を一部ご紹介します。
クリニックにもよりますが、基本的には薬物療法とマシン治療、診察介助になります。
美容クリニックの業務内容
薬物療法
医師の指示の元、薬液を投与します。静脈注射・筋肉注射・点滴が多く、ヒアルロン酸やボトックスは医師が施術を行います。
マシン治療
医師の指示の元、レーザーやLEDを照射します。必要に応じて術前の剃毛や術後のクーリングも行います。
診察介助
医師の指示の元、物品の準備と診療の介助を行います。外来処置~手術の介助まで様々です。
具体的な業務として以下の例でご説明します。
業務内容の例(脱毛)
初回
まずは、レーザー脱毛の施術で来院された患者様が、初診の来院からお帰りになられるまでの流れです。
診察・カウンセリング
↓
施術室へご案内
↓
術前準備
↓
レーザー照射
↓
術後処置
↓
次回予約
診察・カウンセリング
医師による診察(必要に応じ介助)後、治療方針を医師・カウンセラーまたは看護師の方と決めます。
施術室へご案内
カウンセラーまたは看護師により施術室へご案内します。
術前準備(看護師)
更衣(必要時)後、皮膚や毛の状態を観察・アセスメントします。
術前・術中の注意事項を説明し、医師の指示下にてレーザー機のセッティングをします。
必要に応じて剃毛やジェルの塗布を行います。
レーザー照射(看護師または医師)
レーザー照射を始めます。レーザーの反応や疼痛等、観察とアセスメントを随時行います。
羞恥心への配慮や室温・疼痛等、声掛けを行い、安全・安楽な施術となるよう努めます。
術後処置(看護師または医師)
皮膚・毛の状態を観察し、必要であれば医師に上申します。指示下にてクーリングや軟膏の塗布を行い、ジェル使用時はジェルを除去してから術後の注意事項を説明します。
次回予約
次回までの照射間隔を説明し、次回の予約をとります。
例外はあるものの、看護師が行う業務は術前から術後にわたってのレーザー照射です。
フェイシャルやボディの美肌治療マシンも同様とお考えて良いです。
「経験の無い施術」「使ったことのない機械」と思うと、確かに不安に思う気持ちは当然です。もちろん新しく覚えないといけない事はありますが、処置前・処置中・処置後と観察し、アセスメントを行いながら患者様に最善と思われる看護を展開し医療を提供するという事は、今までの勤務の中でも行っていると思います。
次は、診察の介助を具体的な例でご説明します。
業務内容の例(シワ取り治療:ボトックス使用)
診察・カウンセリング
↓
施術室へご案内
↓
術前準備
↓
施術
↓
術後処置
診察・カウンセリングから施術室へご案内までは、前の「業務内容の例(脱毛)」と同様となります。
術前準備(看護師)
シワを確認し、治療前の写真撮影をした後マーキングします。
カウンセリング時にマーキングする場合もあります。
必要物品を準備し、患者の体位を整え、薬液を準備します。
施術
ライトを点け、適宜声かけを行いながら医師に物品を渡す等介助をします。
術後処置(看護師)
マーキングを拭き取り、刺入部の観察・アセスメント、術後説明をします。
施術内容に応じて麻酔を使用、必要物品が増えるといったことはありますが、治療全般、大まかな流れは変わりません。
一日の流れ(例:美容外科)
9:30
開院準備
清掃
予約の確認
機器のセッティング
物品準備等
↓
11:00~12:30
二重施術OPE:1件
脱毛(上腕、顔):1件
↓
12:30
昼休憩
↓
13:30~16:00
美肌治療(Hi-Fu):2件
↓
16:00
ピアス(耳たぶ・舌):1件
↓
17:00~18:00
脱毛(VIO・上腕等):2件
↓
18:00~20:00
カルテ記載
閉院準備
片付け(器具の滅菌等)
翌日の予約確認
機械のメンテ等
一日の流れ(例:美容皮膚科)
9:30
開院準備
清掃
予約の確認
機器のセッティング
物品準備等
↓
11:00~12:30
ヒアルロン酸注入:2件
ボトックス注射(顔):2件
↓
12:30
昼休憩
↓
14:00
脱毛(全身):1件
↓
16:00
美肌治療(マシン):3件
↓
18:00~20:00
カルテ記載
閉院準備
片付け(器具の滅菌等)
翌日の予約確認
機械のメンテ等
一日の流れ(例:脱毛クリニック)
10:00
開院準備
清掃
予約の確認
機器のセッティング
物品準備等
↓
10:00~13:00
脱毛:4件
↓
13:00
昼休憩
↓
14:00~18:00
脱毛:6件
↓
18:00~20:00
カルテ記載
閉院準備
片付け(器具の滅菌等)
翌日の予約確認
機械のメンテ等
業務の役割
コメディカル
コメディカルの一員として働く際は、分からないことは専任のスタッフに任せることもできます。
また、美容クリニックには受付業務の担当スタッフやカウンセラーが在籍していることが多く、治療メニューの選択・決定のサポートや契約締結手続き、会計等を行っています。
カウンセラー不在のクリニックでは、看護師が治療メニューの選択・決定のサポートや契約締結手続きを行います。
受付スタッフ、カウンセラーの業務内容について説明します。
受付スタッフ
事務作業、経理業務を主に行います。総合病院だと医事課や総務にあたる業務を担当し、一部、人事や庶務等、多くの面に渡り医療者のサポートや病院運営を行っています。
カウンセラー
患者様の抱える問題や悩みなどに対し、医師の診断を踏まえたうえで患者様の治療方針の決定をサポートします。幅広く専門的な知識で患者様の心身のサポートを行い、医師・看護師と連携し、患者様と現場スタッフの橋渡し等、よりより治療のために尽力してくれるスタッフです。
まとめ
クリニックによって特徴やメインとなる治療は様々ですが、近年は美容外科以外に美容皮膚科クリニックも増えてきています。
美容皮膚科クリニックでは、レーザー治療や注入治療をメインとしているため、看護師の方のスキルも非常に大切になってきております。
現在、看護師としてご活躍中の方は、日々の業務の中で新薬の学習会への参加、器材・衛生材料の使用方法や適応についての説明会に参加することもあると思います。
看護学校や病棟実習での学びは大変価値あるものではありますが、厚生労働省も推奨しているように、現場に出てからそれぞれの場所で学びを得ることはとても大切なことです。
また、医療が進歩発展し専門性が高まっていく中、看護師として学ぶことは何年経験を積んでも終わることはありません。
新卒の方で看護師としての経験はあるけど、美容クリニックは未経験という方も、どのようなスキルを磨き、身に付けたいかによって目指す美容看護師は様々です。
また、働き方もとても大切です。「今のうちにとにかく経験を積みたい」「認定や専門をとるための準備期間中」「夜勤手当で稼いでしっかり貯金しておきたい」という方もいらっしゃるかもしれません。
3年後、5年後、10年後の自分を想像してみた時、どんな生活を送っているのでしょうか。
想像するのはとても難しいですが、特に女性は、結婚や出産・育児といった生活が大きく変わり環境をどうしていくか考えないといけないような境遇になることもあります。
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