2021.12.13
概要
妊娠すると嬉しいと思う反面、生活や仕事についてどうすればよいか不安に感じるものです。
体力勝負の看護師なら、なおのこと今後の仕事に不安を感じるのではないでしょうか。
身体に負担のかかる仕事が多いため、どのように勤務していくか上司と相談しなければなりません。
・上司へ報告するタイミングは?
・仕事は続けられる?
・転職した方がよい?
さまざまな疑問が生まれるでしょう。
この記事では看護師が妊娠を報告するタイミングや仕事中に気をつけること、転職も含めてどうすればよいか詳しくご説明しています。
<目次>
1,妊娠がわかった看護師が職場へ報告するタイミング
1-1.妊娠がわかった時点で職場と上司に報告する
1-2.産前休暇の希望も伝える
1-3.育児休業について検討も
2,看護師が妊娠したら退職するべき?
2-1.産休や育休を取得する方がよい!
2-2.育児休業給付金がもらえる
3,看護師として転職を検討している最中に妊娠がわかったら?
3-1.転職できるかは仕事の内容次第
3-2.転職できても基本的に育休は取得できない
3-3.出産までの短期パートやアルバイトへの転職を検討する
3-4.出産後に落ち着いてから転職した方がよい
4,看護師が妊娠中に気をつけること
4-1.身体に負担のかかる業務は回避する
4-2.夜勤を避ける
4-3.感染症には特に注意をはらう
4-4.無理はしない
5,看護師の現場でもあるマタニティハラスメント
5-1.労働制度をよく知っておく
6,まとめ
1. 妊娠がわかった看護師が職場へ報告するタイミング
女性にとって妊娠は、人生の転機になりうる出来事。
自分の身体や生活に大きな変化をもたらします。
自分のためだけでなく、お腹の子を大切に育てていくためにも無理は禁物です。
看護師の仕事はとても体力を使います。
どのようなタイミングで職場へ報告すればよいのでしょうか?
1-1.妊娠がわかった時点で職場と上司に報告する
妊娠がわかり、出産予定日が確定して母子手帳をもらったら、職場と直属の上司に報告しましょう。
「安定期に入るまで、あまり知られたくない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、つわりで辛かったり切迫流産の危険性があったりなど、女性の身体が一番大きく変化する時期は妊娠初期です。
お腹が大きくないため、妊婦だとわかりづらいですが、妊娠初期も無理をしてはなりません。
今後の仕事内容も含めて相談が必要なため、出産予定日がわかったら報告しましょう。
もし妊婦検診などスケジュールがわかっていれば、それも一緒に伝えられるとよいです。
スケジュール調整をお願いできます。
仕事を続けるかどうか、意思を聞かれるかもしれません。
転職を考えていたとしても、退職することはすぐに伝えない方がよいです。
直属の上司へ報告が終わったら、同じチームのリーダー・メンバーにも伝えましょう。
自分ができない業務をカバーしてくれるのは、主に同じチームのメンバーです。
お願いの意味もこめて、自分の口から報告すると印象もよいです。
1-2.産前休暇の希望も伝える
産前休暇は出産予定日の6週間前から取得できます。
ただし双子など早産リスクの高い多胎児を妊娠している場合は、出産予定日の14週前から取得可能です。
産前休暇の取得を考えているのなら、その旨も一緒に伝えましょう。
早めに伝えておけば、産休取得に向けて人員の配置など考慮できるため、職場にもメリットがあります。
また、病院により休暇申請の手続き方法が異なります。
どのような手続きを行わなければならないか、妊娠がわかったら確認しておくとよいです。
1-3.育児休業について検討も
出産後も仕事を続ける場合は、産休後に育児休業(育休)を取得することもあるでしょう。
育休を取得する手続きも、病院により異なります。
しっかり確認しておきましょう。
育休は「職場に1年以上勤務し、育休後に復職する契約をしている」方でないと取得できません。
どれくらいの期間、育児休暇を取得するかは後ほど考えてもよいです。
2. 看護師が妊娠したら退職するべき?
妊娠すると疲れやすくなったり、つわりで思うように仕事ができなかったり、さまざまな悩みが出てきます。
周りに迷惑をかけることもあり、無理もできないため「仕事を辞めた方がよいのでは…」と考える方も多いでしょう。
しかし妊娠しても退職せず、産休や育休を取って働くメリットはたくさんあります。
2-1.産休や育休を取得する方がよい!
出産・育児で退職した看護師が、復職時にもっとも悩むことは「ブランク」。
ブランクがあるがため、就職活動に苦労する方もいます。
またブランクを抱えたまま、新しい職場で新しいスタッフと仕事をするのは、精神的にも負担が大きいでしょう。
それに比べて産休や育休で休んでいるだけならば、戻る職場は残っています。
仕事内容は休業前に行っていたことが多く、周りのスタッフも知っている方がほとんどです。
そのため、あまりブランクを気にせず復職できるのです。
また産休中も収入が得られます。
出産時にもらえる「出産一時金」や「出産手当金」も大きな収入に!
退職すると、失業手当はもらえますが、育児休業給付金はもらえません。
転職や退職を考えていた方も、いったんその計画の保留をおすすめします。
ひとまず産休・育休を取得し、その後にゆっくりどうするか考えても損はありません。
2-2.育児休業給付金がもらえる
育休を取得した場合、育児休業給付金が取得できます。
この給付金は雇用保険から支給されるため、雇用保険に加入し、育休を取得した方が支給対象者です。
育休中も無収入になることはないため、安心です。
3. 看護師として転職を検討している最中に妊娠がわかったら?
今の職場を辞めて、転職活動中に妊娠がわかった方もいるでしょう。
そのような場合は、どのようにすればよいのでしょうか?
順番にご説明していきます。
3-1.転職できるかは仕事の内容次第
妊娠している方の場合、仕事内容に制限が生まれたり、入職後、早い段階で長期休暇に入ってしまったりするため転職先は限られてしまいます。
短期や単発のイベントナースなどであれば採用されることもあります。
しかしフルタイム勤務など、身体の負担が大きい業務を主にしなければならない職場では、採用されにくいと考えられます。
さらに新しい職場では、体力的負担が少なくても慣れるまで精神的負担がかかります。
身体の負担を最小限にするように考えなければなりません。
3-2.転職できても基本的に育休は取得できない
もし転職ができたとしても、転職時にすでに妊娠しているのであれば、育休は取得できません。
育休は「取得する前の12ヶ月間、職場で勤務している」方が対象です。
産前・産後休を取得できることは多いのですが、産後休は出産後8週までです。
出産後は慣れない育児で、生活リズムを整えるまでに時間がかかります。
また産後に体調や体力がしっかり回復するのに、産後8週間の期間は非常に短く感じる方が多いのではないでしょうか?
産後休を終えて、すぐに復帰できる条件や体制が整っている方であれば可能かもしれませんが、あまり現実的ではありません。
3-3.出産までの短期パートやアルバイトへの転職を検討する
どうしても転職したい方は、短期のパートやアルバイトなどを検討しましょう。
またすでに退職してしまい、働き口を早く見つけなければならない方も、フルタイム勤務の職場ではなく、いったんパートやアルバイトの仕事を考慮することをおすすめします。
フルタイムでしっかり働ける職場への転職は妊娠中の方にとって、とてもハードルが高いです。
何よりも自分の身体と十分に相談して、決めることが大切です。
これくらい大丈夫だろうと考えていても、身体に大きな負担をかける可能性があります。
自分一人の身体ではありません。
後悔のないように、慎重に検討してください。
3-4.出産後に落ち着いてから転職した方がよい
看護師の求人が絶えることはありません。
ある程度の規模がある病院であれば、ほぼ毎年看護師職員を募集しています。
出産後、自分の体調や赤ちゃんが落ち着いてから、本格的な転職を考えても遅くはありません。
妊娠中に焦って転職活動をすると、逆に転職先が限られてしまいます。
また出産後、看護師としてどのように働きたいのか、生活とのバランスをどのように取っていくのか、考え方が変わることもあります。
自分がどのように働きたいのか、産休・育休中にゆっくり考え、最適な職場への転職を検討した方がよいかもしれません。
4. 看護師が妊娠中に気をつけること
産休に入るまで、看護師として勤務を続ける方が多いです。
妊娠初期はもちろん、安定期に入ってからも注意しなければならないことはたくさんあります。
順調だからと油断してはなりません。
周囲の方に理解してもらいながら、自分でも十分に注意をはらって業務を行ってください。
4-1.身体に負担のかかる業務は回避する
重いものをもったり、急いで院内を移動したりする作業は避けましょう。
サポートが必要な患者様の移動などは、ほかの方にお願いしてください。
また、可能なら階段での移動も避けるようにしましょう。
特にお腹が大きくなる妊娠後期は足元が見えにくく、階段は転倒のリスクが高まります。
つわりなど体調が悪いときは「におい」に敏感になることもあります。
食事介助などは、ほかの方にしてもらえるように上司に相談なさってください。
4-2.夜勤を避ける
夜勤や準夜勤は、なるべく控えてもらえるように相談しましょう。
生活リズムが崩れることは、母体にも胎児にも負担をかけることになります。
また夜勤中は日勤時よりスタッフの数が限られます。
日勤時はほかの看護師とペアになって行うことが多い処置も、夜勤時は一人で行わなければならないことも。
何か体調に変化があったとき、助けてくれるほかのスタッフが近くにいるとは限らないのです。
夜勤業務のある病院は多いと思いますが、妊娠中は日勤のみにしてもらうか、勤務時間を短くしてもらいましょう。
4-3.感染症には特に注意をはらう
病院にはさまざまな患者様がいます。
怪我だけでなく、あらゆる病気を抱えた患者様の看護をしなくてはなりません。
手指衛生やマスク装着など、感染対策をしていても、何かしらの感染症にかかってしまう可能性はゼロではありません。
特に妊娠中は、普段と比べて免疫力が下がります。
また薬を服用するにしても、胎児に影響のない薬を選択しなければなりません。
通常なら特効薬ですぐに治る感染症なのに、妊娠中であれば重症化する可能性もあるのです。
最悪の場合、胎児に影響をおよぼすことも…。
感染力の強い病気にかかっている患者様や、かかっている恐れのある患者様の対応には特に注意してください。
可能であれば、ほかのスタッフに代わってもらいましょう。
感染対策は慎重になりすぎても問題ありません。
十分注意してください。
4-4.無理はしない
ほかのスタッフに迷惑をかけてはならないとの思いから、少し体調がよいと無理をする方がいます。
「これくらいなら大丈夫かな?」と無理をした結果、切迫流産や早産につながり、後悔している看護師がいることも事実です。
自分の身体は自分だけのものではありません。
業務はほかの誰かにお願いできますが、自分のお腹の子を守れるのはあなただけです。
つわりで辛い時期だけでなく、お腹の張りを感じたときなど、体調に変化が現れたらためらわず休んでください。
妊娠中の無理は禁物です。
5. 看護師の現場でもあるマタニティハラスメント
妊娠中のスタッフに嫌がらせをする「マタニティハラスメント(マタハラ)」。
残念ながら、医療の現場でもまったくないと言い切れません。
どうしても妊娠中は周りのスタッフに負担をかけてしまうため、言われても仕方がないと感じる方もいるかもしれません。
しかし、だからといって心ない言葉を浴びせられたり、冷遇を受けたりしていいことにはなりません!
心身のストレスは妊婦に一番悪影響です。
マタハラを受けないために労働制度など、しっかり知識を身につけておきましょう。
5-1.労働制度をよく知っておく
労働基準法では、妊娠・出産に関する女性労働者への保護として「母性保護規定」が定められています。
(1)産前産後休業
(2)妊婦の軽易業務転換
(3)妊産婦等の危険有害業務の就業制限
(4)妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限
(5)妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限
(6)育児時間
参照:厚生労働省 働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について
(2)の妊婦の軽易業務転換や、(4)妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限、(5)妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限は妊産婦が請求したときに適応されます。
いずれも身体の負担になるような業務を行わないための規定です。
この規定に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
つわりなど体調の不調で、どうしてもできる業務に制限が出てくるのであれば、かかりつけの産婦人科を受診し、診断書を発行してもらいましょう。
我慢せず、自分の実情を正直に伝え、対処方法をともに考えてもらうとよいです。
6. まとめ
妊娠がわかったら、早めの段階で上司に報告しておきましょう。
看護師は体力の必要な仕事です。
特に身体の変化が大きい妊娠初期は、体調にさまざまな変化が現れます。
「看護師だから…」と我慢することはありません。
自分の体調を一番に考え、できる業務を精一杯こなしていきましょう。
妊娠中は自分だけの身体ではないのです。
お腹の子を第一に考え、周りのスタッフに頼りましょう。
もちろん周りの方からサポートしていただかなくてはならないため、気遣いは必要です。
「支えていただいている」と感謝の気持ちをもって接していれば、多くのスタッフはこころよくサポートしてくれます。
しかし残念ながら、マタハラが横行している職場もあります。
病院に訴えて改善を促すこともできますが、心身ともにストレスがたまり、母体にも胎児にもよくありません。
またそのような職場は、育児への理解も乏しいでしょう。
子育てをしながら復帰をしても、あまり協力的ではないと予想できます。
転職を考えている方は、妊娠・出産・育児に対して理解のある職場かどうかをしっかりチェックしましょう。
「産休・育休を取得している看護師がいるか」「時短勤務の看護師がいるか」などさまざまな項目から、確認できます。
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